訪問美容師はじめての確定申告のやり方!必要な理由や手順をわかりやすく解説
訪問美容師として独立・開業する場合「確定申告」の手続きが必要となります。「確定申告をしなきゃいけない」と理解はしていても、その具体的な手順や内容まではわからないとお悩みの方も多いのではないでしょうか。
今回は「はじめての確定申告のやり方」というテーマで、訪問美容師の方向けに手続きの手順や内容、申告手続きを怠ることで発生するリスクなどについてお話します。
【この記事でわかること】
・確定申告とは?
・訪問美容師のうち、確定申告が必要な人とは?
・確定申告をしないとどうなる?
・確定申告の手順と内容
Contents
確定申告とは?なぜ必要なの?
「確定申告」とは、1年間の所得額と所得に発生した税金を算出し、税務署に納税額を申告する一連の手続きのことです。
所得とは「売上」から「必要経費」を差し引いたものであり、所得に対して発生する税金のことを「所得税」といいます。
確定申告の期間は例年2月中旬~3月中旬にかけてが一般的です。ただし2021年度に関しては、新型コロナウイルスの影響により4月15日まで延長されています。
2021年(2020年の所得分)の確定申告期間は、2021年2月16日(火)〜2021年4月15日(木)まで。
「国税庁ホームページ」より
確定申告は自分の所得額に応じた税金を国に支払う手続きであり、国民として守らなければならない重要な義務です。
訪問美容師で確定申告が必要なのは、こんな人!
これから「訪問美容で独立しよう」という方は、基本的に確定申告が必要だと考えるべきでしょう。
確定申告の義務がある人として、以下の層が当てはまります。
・個人事業主(フリーランス)
・自営業
・経営者
よって会社に所属せず、個人や身内で訪問美容サービスを開業する場合、あるいはヘアサロンを開業する場合などは確定申告が必要です。
一方、訪問美容師として「訪問美容サービスの会社に就職」したのであれば確定申告の必要は基本的にありません。会社が毎月の給料から所得税を源泉徴収し、年末調整によって納税を代行してくれるためです。
ただしサロンや会社で働きながら「副業で訪問美容をやる」場合、所得額によっては確定申告が必要となるため注意しましょう。本業以外の副業が年間所得が20万円以上、あるいはパート・アルバイトの年間収入が20万円以上の場合、確定申告が必要となります。
訪問美容師が確定申告をしないとどうなる?
確定申告の義務がありながら申告しなかった場合、納税義務を怠ったとして法律違反の対象となります。
場合によっては後日、税金の未払いを通告され、所得税(もともと払う予定だった税金)にプラスして「延滞税」を払わなければなりません。
延滞税は税金を滞納した期間に応じて計算されるため、納税が遅くなるほど額も上がります。
「今年は利益がほとんど発生しなかったから、申告しなくて良いだろう」
「周囲も確定申告していないし、自分もバレないだろう」
そんな甘えでついサボりたくなってしまう確定申告ですが、将来の自分への信頼や安全を確保するためにも必ず義務として行いましょう。
確定申告のやり方と手順をわかりやすく解説!
いざ確定申告をしろと言われても、手続きが複雑そうで何から手を付ければいいかわからない。そういった個人事業主やフリーランスの訪問美容師さんは実際に少なくありません。
確定申告は期限前にまとめて処理するのではなく、365日こまめに収支を記録・計算することが重要です。以下で大まかな手順と方法についてみていきましょう。
【確定申告の主な手順】
1.帳簿をつける
2.決算書を作る
3.確定申告書を作る
4.税務署へ提出
5.納税する
1.帳簿をつける
帳簿をつけるとは売上と経費を集計することです。納税対象となる1月1日~12月31日の期間について、「何月何日」に「何の目的」で「いくらお金が動いた」のかを書き起こしていきます。
具体的には売上に加え、交通費や物品の購入、光熱費など日々の経費などを記録します。
主な集計ツールとしては
・会計ソフト(有料)
・エクセル
・手書き
などがあります。
■ 集計方法のおすすめツールは「会計ソフト」
訪問美容師の集計・確定申告ツールとして最もオススメなのが「会計ソフト」です。会計ソフトを導入することで、日々の記帳にかかる手間を削減することができます。
主なメリットとしては
・確定申告に関する知識がなくても、ソフトのサポートで記帳できる
・銀行口座との連携で自動的に収支が記録できる
・レシートや領収者を撮影し、データ化して取り込める
・決算書を自動で作成できる
などが挙げられます。
また人気のある「定番会計ソフト」として
・freee(フリー)(スマートフォンだけで確定申告書の作成まで可能、直感で操作可能)
・弥生会計(確定申告に関するメール・電話サポートが可、初心者もわかりやすい)
・マネーフォワード(銀行やクレジットカード、電子マネーなどの連携に強み、会計知識が全くないとやや難しい)
などがあります。
■ 無料で集計したいなら「手書き」or「エクセル」
帳簿作成の時間削減では会計ソフトがおすすめですが「有料ツールは使いたくない」「はじめてのソフトを使うことに抵抗感がある」という方もいらっしゃるでしょう。会計ソフトはサービスによって異なりますが、1年間の利用で5,000~15,000円程度の費用がかかります。
会計ソフト以外の手法で集計したい方は、「手書き」もしくは「エクセル」で行いましょう。
機器操作に慣れていない、紙に書くのが安心という方は「手書き」の作成がおすすめ。やや工数はかかりますが、毎日文字を書く作業に抵抗のない方なら問題ありません。
一方、パソコン作業に抵抗感がないなら「エクセルソフト」を利用すると良いでしょう。無料で使える上、集計も自動でできるため自ら電卓を叩く手間も省けます。またネット上にはエクセル専用の無料テンプレートが数多く配布されているため、一から収支の項目を作る必要もありません。
■ 集計時の注意点
たとえ実際にお金が動いていなくても、年内に「購入」や「サービスの提供」を行った場合、必ず売上や経費として計上しなければなりません。以下の様なケースも忘れず記帳しましょう。
【具体例】
・発注したPCが年末に届いたけど、支払いはまだ完了してない。
・商品の納品は済ませたけど、報酬はまだ振り込まれていない。
2.決算書を作る
1年間の売上や経費を「決算書」に記載します。帳簿の記録をもとに、年間の売上金額や仕入れ金額、勘定科目ごとの必要経費などを専用の決算書に書いていきます。
帳簿がきちんと用意できていれば、決算書の作成はそれほど難しくありません。
確定申告の方法によって書類内容が異なり、記載内容やページ数にも違いがあります。手続きとしては青色申告の方がやや手間ですが、節税面では大きな魅力があります。
確定申告の方法 | 決算書の種類 | 節税に関するメリット |
白色申告 | 収支内訳書 | 特になし |
青色申告 | 青色申告決算書 | 所得から最大65万円の控除が受けられる、白色申告では認められない支出を経費で計上できる、など。 |
3.確定申告書を作る
決算書ができたら「確定申告書」を作成します。決算書や源泉徴収書などをみながら、確定申告書の項目を埋めていきます。確定申告書類は税務署に直接もらうか、もしくは国税庁のホームページからダウンロードが可能です。
また手書きが煩わしい方は、国税庁の「確定申告書作成コーナー」にてWeb上で作るのが良いでしょう。画面の案内に従い、必要項目を埋めるだけで確定申告書を作成できます。
4.税務署へ提出
必要書類を印刷して、税務署へ提出します。「決算書(収支内訳書、青色申告決算書)」「確定申告書」そして「本人確認書類」など、要件をみて書類を用意しましょう。
【主な書類の提出方法】
・税務署の窓口で直接提出
・郵送で提出
・e-Tax (電子申告)
上記のうち、自分がもっとも取り組みやすい提出方法を選べばOKです。郵送や電子申告が不安な人は直接税務署へ足を運ぶ、税務署が家から遠い方などは郵送やe-Taxなどを活用すると良いでしょう。
国税庁の運営するe-Tax(国税電子申告・納税システム)は、確定申告など各種手続きをインターネットを通じて行えるサービスです。
5.納税する
すべての書類提出が完了したら、確定申告の期限までに納税を行います。納税の方法は
・振替納税
・税務署へ直接行って、納税書で納付
の2つの方法があります。「振替納税」とは口座引落しにより国税を納付できる手続きのことで、納付書の作成や税務署へ足を運ぶ手間を省くことが可能です。
納税手続きまで完了したら、確定申告のすべての作業が完了です。
最後に
今回は「はじめての確定申告をする訪問美容師」向けに、確定申告の内容や具体的な流れなどを解説してきました。手をつけるまでは「難しそう」「面倒くさい」というイメージがあるものの、慣れてしまえば翌年の手続きから随分気持ちが楽になるはずです。
普段から帳簿に収支を記録し、締め切り間際でバタバタしないよう計画的に取り組んでみてくださいね。