【徹底解説】訪問美容師が「介護職員初任者研修」を受ける本当のメリット│受講者のリアルな声も紹介
訪問美容師として活動するために、必ず取得しておきたい「介護職員初任者研修」。とくに訪問美容一本で活動されるのであれば、早いタイミングで初任者研修の受講を検討すべきでしょう。
今回は「なぜ介護職員初任者研修の受講が、訪問美容師に役立つのか」をテーマに、実際に受講した方のリアルな声や受講内容・資格取得のメリットなどについてお話しします。
【この記事を読んでわかること】
・「介護職員初任者研修」を受ける、訪問美容師にとっての本当のメリットとは?
・「介護職員初任者研修」の講義内容や、実際に受けてみた感想
・「介護職員初任者研修」の詳細(料金・期間・時間割・服装・受けている人の層など)
Contents
介護職員初任者研修(旧ヘルパー2級)とは
介護職員初任者研修(旧ヘルパー2級)とは「介護職として働く上で基本となる知識・技術を習得する研修」のこと。介護職に携わりたい・ヘルパーになりたいと思ったら、まずはじめに取得を目指したい権威と伝統のある資格研修です。
資格を取るためには全130時間の座学・実習研修を受講し、全課程修了後の試験に合格する必要があります。
介護職員初任者研修の受講レポート(期間や講習内容・感想など)
いざ「介護職員初任者研修」を受講するとなったフェーズで、以下のような不安や疑問を抱く方もいらっしゃるでしょう。
・いったいどこのスクールを選べばいいんだろう?
・働きながら、費用や時間は工面できるだろうか。
・本当に訪問美容師に、初任者研修の受講は必要?
・今でなく、後々余裕があるタイミングに受けようかな。
今回はこういった皆さんの疑問を解消していただくため、実際過去に初任者研修へ参加された、訪問美容関連のコンサルタント職を勤めるMさんに受講時のお話しを詳しくお聞きしました。
スクールの通い方や期間、費用感は?
── 本日はよろしくお願いします。まず、Mさんはどの位の期間・カリキュラムで介護職員初任者研修を受講されたんですか?
わたしのときは全15日間の講義を、週2回・2か月間で受けました。座学のみで午前中に終わる日もあれば、実習を含め朝から夕方まで講義がある日もありましたね。
全130時間の講義受講がどのスクールでも義務付けられているので、人によっては週1日で半年近くかけて通う方もいれば、1か月に短期集中で受けられる方もいらっしゃいます。
サロン業と並行して受けられる方も多いと思うので、その場合は自身の休みと講義の日程を比較し、無理なく受けられるスクールを選択することになるかと思います。
実際の受講の様子(雰囲気・人数・受講者の層など)
── 受講中の雰囲気や環境は、いかがでしたか?
わたしのときは10~20名が座れる、テナントビルの1室でした。オフィスフロアの中にデスクと椅子、その他に実習で使う車いすや介護ベッド・松葉づえなどの介護用品も多数用意されており、この研修ではじめて触った道具も多かったです。
── 受講人数・受講者の方の層は、どうでしたか?
わたしの回がたまたま人数が少なくて、自分を含めて5名ほどでした。通常であれば10~15名ほどが一般的なようで、スクールによっては20・30名ほどで受講されるケースもあると思います。
受講者の層ですが、学生の方から60代の女性まで、幅広くいらっしゃいましたね。
「これから介護職に就きたい」「いま介護の仕事をしているため、必要で受けている」という方ばかりかと思いきや、親の介護をきっかけにプライベートで受けにこられた、あるいは高齢者のお客さんと接する機会が多いことを理由に受講される方もいらっしゃいました。
── 服装のルールなどはあったのでしょうか?
スクールによって違うと思いますが、わたしの通ったところでは「(実習があるため)動きやすい服装」「チャックやファスナー等、金属のない服装」と決められていましたね。
金具や金属など硬いものがついてると、介助中に要介護者の方へ当たってしまい怪我をさせてしまうリスクがあるからです。そのためジーンズや前開きのパーカーも禁止で、スウェットなどの上下・足元はスニーカーという恰好の方が大半でした。
あとは各自の名前がわかりやすいよう、大きめの名札を付けた、料理用エプロンを着用していました。
記憶に残る受講内容(おむつ体験・洗髪介助の実習など)
── 数あるカリキュラムの中で「こんな授業が役に立った」「特に記憶に残っている」ものだと、どんな講義がありましたか?
まず記憶に残っているのは「おむつ体験レポート」ですね。このスクール以外にもあるのか、定かではないですが……。
── 「おむつ体験レポート」ですか!内容が気になります。
座学の一貫で取り組んだのですが、スクールから各自に1枚おむつを手渡されるんですね。そして「家に持ち帰って、実際におむつをつけたまま生活してみてください。トイレに行きたくなったら、おむつを使ってください」と言われるんです。後日、体験した感想をレポートにまとめてくるという。
「介護される側の気持ちを理解する」ことを意図した授業なのですが、やってみると「おむつに頼る生活が、こんなに不快感のあるものなのか」ということを、痛いほど実感しました。また信頼の不自由により自分の意思で不快感を取り除けないストレスは、相当なものだろうと身をもって体験できましたね。
── 介護の世界に関わる人間になるなら、体験しておきたい貴重な機会ですね。その他にも、印象に残っている講義はありますか?
実習の1つで「寝たきりの人の洗髪をする」というカリキュラムがあり、これも記憶に残っています。
受講者同士で「髪を洗う側」「洗われる側」を交代で担当するのですが、かなりの重労働でしたね。片腕で要介護者の方の頭を支えながら、もう片腕でペットボトルのお湯を使って洗髪。そのままやるとベッドがビショビショになるので、タオルや新聞紙で簡易的なシャワースペースを作成します。
訪問美容の現場では「移動式のシャンプー台」を使うため、実際にこの講義が実技として仕事に活かされる機会は少ないかもしれません。しかし「寝たきりの方を介助する難しさ」や「体が思うように動かない方の気持ち」を体感し、ヘルパーさんや要介護者さんの気持ちを理解する上で、必要な講義だったと思います。
筆記試験の難易度は?どのくらい勉強が必要?
── 初任者研修の資格を取得するためには、すべての講義の最後にある「筆記テスト」に合格する必要がありますよね。実際、受けてみられて問題の仕様・難易度はいかがでしたか?
試験の回答形式はスクールによってバラバラだと思いますが、わたしのときは「選択問題」と「記述式」の試験でした。勉強時間も人によってまちまちだと思いますが、感想としては「出題する項目さえきっちり抑えておけば、そこまで難易度の高い試験ではない」という印象です。
講義中も「ここは重要なのでマーカーを引いてください」などと講師の方から言われるので、そこさえ復習しておけば合格できるのではないでしょうか。
仮に不合格となった場合も、多くのスクールでは再試験などの救済処置が用意されているため、そこまで不安になる必要はないかと思います。
── なるほど。「真面目に取り組めば、誰でも資格取得が目指せる」という印象を抱きました。取材のご協力、ありがとうございます!
実際の受講者が思う、訪問美容師が介護職員初任者研修を受けるメリット
実際に受講されたMさんも仰られているように「介護職員初任者研修」を訪問美容師の方が受講するメリットは「カットやシャンプー」といった技術面に活かされることだけではありません。
訪問美容師が介護職員初任者研修を受講すべき、真のメリットについて、解説いたします。
1.「介護される側の気持ち」を、身をもってリアルに理解できる
1つ目の大きなメリットは「介護を受ける側の気持ち」「介護をする側の気持ち」の双方を、身をもって経験できる点です。
研修では受講生同士がペアを組み、「介護する人」「介護される人」の役割を交代しながら、車いすや寝たきりの介助・洗髪や衣服の着脱などを、実技として学びます。
介護される側の立場を経験することで「寝たきりや車いすのお客様は、こんなに体が動かせなくて不自由だったり、不快な気持ちになったりするんだな」と、要介護者の苦労やイライラ・不安を痛いほど実感。
介護者の方で突然癇癪を起されたり、感情が不安定な方を見かけることがありますが、初任者研修を受講すると、その背景を実体験を通して理解できるようになります。
2.「介護者の方」の不安やイライラを知ることで、ベストなコミュニケーションがわかる
実習を通して介護者の方が抱える「心身の不安・イライラ」を理解すれば、自然とお客様への接し方や言葉がけの内容に変化が生まれます。また「介護の仕事もこんなに気を遣わなければならないのか」と、お客様を介護するご家族やヘルパーさん・ケアマネージャーの気持ちにも寄り添えるようになります。
実は訪問美容師の方で、業務中に寝たきりのお客様を実際に介助したり、車いすへ移動させたりといった介護業務をされる方は、ごく少数です。そうした介助作業は、本業であるヘルパーさん・要介護者のご家族にしていただくことが多いためです。
よって介護職員初任者研修は「実技を身に着けること」が目的というより、研修を通して学んだ介護をする側・される側のリアルな気持ちを、実際の訪問サービスやお客様とのコミュニケーションに活かせることに大きな意味がある様に感じます。
3.「介護職員初任者研修」の肩書きは、何よりの信頼につながる
「介護職員初任者研修 修了」の肩書きは、訪問美容師として活動していく上で強力な武器となります。「介護職員初任者研修」の資格を取得している事実は、それだけで「介護への理解がある」という大きな信頼を周囲から得られるためです。
具体的には
・ケアマネージャーさんや施設の方へ、営業で挨拶する
・新規のお客様を紹介していただく
・ウェブサイトやSNSで、お客様に自分のプロフィールを見ていただく
上記のようなとき、名刺やHPに初任者研修修了の旨が記載されていると、介護者のご家族やヘルパーさんとしては、より安心して仕事を依頼しやすくなります。
とくに介護士さんやケアマネージャーさんの場合、過去に自身も受講している方が大半なので、初対面でも研修のことが話題のタネになったり、親近感を抱いてもらいやすかったりというメリットもあります。
初任者研修以外にも介護・福祉に関する資格は色々とありますが「国から公的に求められた、権威性のある資格」で「ヘルパーさんで過去、受けられている方が多い」という観点からも、介護職員初任者研修は優先的に取得したい介護資格です。
まとめ
今回は訪問美容師が絶対に取得しておきたい「介護職員初任者研修」について、受講する意義や実際の受講の様子まで、詳しくご紹介しました。
もしいま「介護職員初任者研修」の受講を悩んでいる方、あるいは何を基準にスクールを選ぶべきかわからない方にとって、本記事が少しでも参考になれば幸いです。
関西の訪問美容サービス「GOCHOKI(ゴーチョキ)」では、訪問美容師の方・これから訪問美容師を目指される方にとって、ためになる情報を毎月発信しています。
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