サロン業と両立して訪問美容を始めよう!スケジュール管理や集客、メリット・デメリットについて
・サロン経営と並行して、訪問美容サービスを始めたい
・フリーランスの美容師と訪問美容業を両立したい
訪問美容サービスへの注目が集まる中、こういったキャリアを希望するスタイリストさんが増えています。
今回はサロン運営をしながら、施設や個人宅での訪問美容サービスも提供される「sinka hair(シンカヘアー)」の澤田様ご夫婦に、「サロンと訪問美容師との両立」についてお話しをお聞きしました。これからサロン業と並行して訪問美容をはじめたい美容師さんは、ぜひご一読ください。
【この記事でわかること】
・サロン業と訪問美容のスケジュール管理方法
・サロン業と訪問美容を両立すると、収入は上がるのか
・サロン業と訪問美容を両立する、メリット・デメリット
・サロン業を活かした、訪問美容の集客方法
Contents
訪問美容とサロン業を両立する働き方とは
現在「サロンを経営している」あるいは「フリーランスの美容師として活動している」スタイリストさんの中には、訪問美容師の活動に興味があるものの、サロン業と同時にこなすことに難しさや不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
まずはサロン業と訪問美容業を掛け持ちされているお二人に、サロンを運営しながら訪問美容を始める方法や、両者のスケジュールの組み方についてお聞きしました。
サロンを運営しながら訪問美容を始めるということ
──── サロン経営がすでに軌道に乗られていた中、お二人が訪問美容業を始めようと思われたきっかけは、何だったのでしょうか?
わたしたちが訪問美容を始めようと思ったきっかけは、東京のサロンに勤めていたとき、東日本大震災の影響で美容室を利用するお客様が減ってしまい、「何か空き時間を有効活用できないかな」と考えたことでした。
そのとき、ちょうど常連だったおばあちゃんが、体調を悪くしてサロンに来れなくなってしまったという出来事があって。「それだったら家までカットに行きますよ」とご提案し、訪問させていただいたのが、最初の訪問美容のお仕事でした。
そこから「サロンへ通えない方に美容サービスを提供したい」と思うようになり、サロン業の隙間時間に訪問美容師としての仕事を入れていくようになりました。
最初は知識や経験が足りなかったので、仕事のかたわらで講習に通ったり、知り合いの訪問美容師さんに話を聞きに行ったりしながら、徐々に慣れていった感じです。
サロン業と訪問美容業の両立で、スケジュールを組むときの考え方
──── 実際にお二人がスケジュールを組む際、どういった基準で決めてらっしゃるんでしょうか?
私たちの場合、まずサロンを完全予約制にしているので、飛び込みのお客様と訪問美容の仕事が被ってしまう心配がありません。スケジュールの組み方については、サロンの予約が入っていない隙間時間に、訪問美容の仕事を入れるようにしています。
サロン業と訪問美容、どちらの予約を主軸にスケジュールを組んでいくかは、「サロン業をメインにやっていきたいか」「訪問美容をメインにやっていきたいか」によって変わると思います。
自分たちにとって (もちろんどちらも大切なのは前提で)“どちらをより優先したいか” を決めておくと、予定管理がうまくいかなかったり、重複したりといったリスクも軽減できます。
──── 例えばサロンワークを入れすぎて、訪問美容の仕事が入れられない……ということは無いんでしょうか?
繁忙期で、予定がパンパンになることはあります(笑)ただ、訪問美容の仕事をどうしても入れるためにサロンの予約を調整することは、基本的にありません。すでにサロンの予約が埋まり、余裕のある日が数日しか残っていない月は、こちらから訪問先の施設さんに「来月は〇日と〇日と〇日で訪問させていただけますか?」と、事前に日数を指定してお伝えするようにしています。
──── 施設さんとの信頼関係があれば、そういった日時の希望も受け入れていただけるんですね。
【「サロン業と訪問美容」を並行する際のポイント】
・まずは現在の労働スタイルを中心に、隙間時間に訪問美容の仕事を入れていく。
・両立する中でサロン業と訪問美容、どちらに ”より”比重を置きたいかの軸を決める。
・自分の決めた軸をもとに、スケジュールを調整する。
・最初はサロン業と並行しながら、訪問美容の講習に参加するなど学習の機会を増やすと良い。知人の訪問美容師さんにお話を聞くのもおすすめ。
訪問美容とサロンを両立すると収入は上がるのか
実際のところ、サロン業と並行して訪問美容のお仕事をはじめると収入はアップするのでしょうか?
労働スタイルや仕事の比率にも左右されますが、お二人にお聞きしたところ「収入は上がりやすいです」との回答をいただきました。お二人の場合、もともとのサロン業を減らさず、追加で訪問美容のお仕事を増やされているため、訪問美容業の分だけ収入が増えていらっしゃるとのこと。
また施設訪問の様な、 “まとめて沢山のお客様を施術される仕事” は、安定した売り上げになりやすく、訪問カットの経験も積みやすいため、おすすめなのだそうです。
訪問美容とサロンを両立する場合のメリット・デメリット
サロン業と並行して訪問美容サービスを始めることの、メリットとデメリットについてもお聞きしました。
メリット1「空き時間」を有効活用できる
サロン運営やフリーランスで活動をしていると、比較的スケジュールに余裕がある月もあるでしょう。そういったときに自身のスキルを活かして空き時間を有効活用できる、訪問美容サービスのスキルを備えておくことはおすすめです。
収益を上げやすくなるのはもちろん、美容師としての経験を積むといった ”学び” の視点からも、訪問美容との両立は大きなメリットがあります。
メリット2 「サロンに足を運べなくなったお客様」にもサービスを提供できる
訪問美容の活動をしていれば、高齢や体調不良を理由に美容室へ来られなくなったお客様、あるいは既存顧客のご家族などにも、自宅訪問による美容サービスの提供が可能です。
訪問美容のスキルを備えておくことは、お客様との長いお付き合いをされたいスタイリストさんにとって、必要不可欠といっても過言ではありません。
デメリット1 繁忙期はかなりタイトなスケジュールに
年末などの繁忙期は、通常月に比べて非常にタイトなスケジュールになる可能性があります。うまく予約を分散させる、日程を詰めすぎないなど、自分が無理なく働けて、かつお客様に支障をきたさない日程管理が必要となります。
デメリット2 ” 訪問美容を始めたて” の頃は、サロン業とのギャップに戸惑うことも
デメリットということでも無いですが、お客様の層や施術方法がサロンと大きく異なる訪問美容の仕事に、始めたての頃は大きなギャップを感じるかもしれません。実際、初めての経験で自信を無くしたり、お客様に申し訳なさを感じたりする瞬間もあるでしょう。
この時期は「完璧」を目指しすぎず、とにかくお客様と真摯に向き合うことに集中しましょう。経験を積むなかで、徐々にノウハウや自信が見につくため心配ありません。
サロンをしながら訪問美容の「集客」をおこなうには
サロン業と訪問美容の仕事を両立する上で、課題となるのが「訪問美容のお客様をどうやって集めるのか」ではないでしょうか。お二人によれば、現在サロンに通ってくださっているお客様や知り合いに紹介してもらって、訪問美容での人脈を作るのが効果的なのだそうです。
「訪問美容サービス」のニーズがある層
・サロンのお客様のご家族などで、高齢や障害でサロンに足を運べない方
・サロンのお客様で、ご自身や家族が介護などの理由によりサロンへ足を運べない方
・自分たちの知り合いや、両親など家族の知り合いでサロンへ足を運べない方
・高齢者施設で働いているサロンのお客様
ふだん、サロンの仕事をされている時から「実は訪問美容サービスの提供もしているんですよ」と公言しておくことで、「実はうちの親が……」など、お客様の方から声をかけてくださることも多いそうです。
訪問美容師を始める前(講習期間や準備しているタイミング等)から、「今度、訪問美容サービスを始めるんです」と積極的に公言しておくのも、スタートダッシュとしておすすめです。
まとめ
今回は「サロン業務と訪問美容の両立」をテーマに、スケジュール管理の方法や収入、メリット・デメリットについてご紹介いたしました。
「両立したいけれど不安がある」という方は、まずは現在の働き方をしながら、隙間時間に訪問美容の仕事を入れていく、“ミニマムな始め方” がおすすめです。ぜひ本記事を参考に、自身の理想の働き方を追求されてみてくださいね。
GOCHOKIでは今回のように訪問美容師さんに役立つ情報を随時発信しています。ぜひ過去のお役立ち記事も覗いてみてくださいね。
今回取材にご協力いただいた美容師様
澤田 岳 様 / 澤田 寛子 様
和歌山市にて、髪にやさしいオーガニックの薬剤にこだわった隠れ家サロン「Sinka hair」をご夫婦で運営。ヘアメニューのほかネイルやフェイシャルエステも提供する。サロン経営と合わせて訪問美容サービスの提供にも尽力されている。
sinka hair(シンカヘアー)のWebサイトはこちら▶https://sinka-hair.com/