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知っておきたい訪問美容師のメリット・デメリット| 収入の話や活動の始め方も解説

2022.02.15

メリットとデメリット

現在、訪問美容の仕事に興味をもっているアナタへ。訪問美容師はたくさんの魅力を備えている反面、サロン業務とは違った苦労や辛い経験も伴う職業です。

本気で訪問美容の仕事をしたいなら、そのメリット・デメリットの両方をしっかり把握した上で、活動を始めるべきでしょう。この記事では5つのメリット、4つのデメリットに加え、各デメリットに関する解決策の提案もおこないます。

また訪問美容師の「収入」についてや、活動の「始め方」についても言及しますので、ぜひ訪問美容師の道を検討している方は読んでみてください。

訪問美容師になる5つのメリット

笑顔で施術する訪問美容師とお客様

訪問美容師の活動には、”活動内容の魅力”以外にも複数のメリットがあげられます。主要な5つのメリットをご紹介します。

1.ミニマムに始めやすい

訪問美容師の特徴は、店舗を持たずに活動できることです。「施術の道具」「移動用の車やバイク」「カラー剤やシャンプー等の備品」があれば活動を始められるため、経費をかけずミニマムに事業をスタートすることが可能です。

サービスが軌道に乗るかわからない初期段階で、リスクを負わなくて良い点は大きなメリットでしょう。また「サロン美容師と並行して取り組む」「家事と両立しながらスキマ時間に取り組む」など、別の仕事と並行しやすいという利点もあげられます。

2.ニーズの高まる業界である

高齢化に伴い、在宅医療のニーズが高まりつつある昨今。「訪問美容師」の需要は、今後さらに高まっていくと予想されます。

平成29年度に厚生労働省が実施した調査によると、平成29年に在宅医療を受けた患者数は約180万人程と、平成8年度の約2.5倍にまで増加しています。

在宅医療を受けた外来患者数の年次推移

引用元厚生労働省「平成29年 患者調査の概況」より


業界が伸びれば、その分事業の拡大や売上の向上も見込めるようになります。以前に比べればサロン数は増えてきているものの、訪問美容はまだまだ開拓の余地が十分にある、おもしろい業界でもあります。

将来性を見据え、早期に訪問美容の知見やノウハウを身に着けておくことは、これからの美容業界を生き残る上で強力な武器になるかもしれません。

【おすすめ記事】訪問美容師の需要と現状│更にニーズの高まる訪問美容の業界で活躍するために

 

3.年齢を重ねても続けやすい

漠然と「ある程度の年齢になったら、ハサミを置こう」と考えている美容師さんは多いのではないでしょうか。厚生労働省の調査によると、雇用正社員の美容師のうち、39歳までの美容師が男性は87.2%、女性は80.2%を占めることがわかります。

引用元:厚生労働省「美容業 結果の概要」より

もちろん歳を重ね経営にまわるスタイリストさんもいらっしゃいますが、美容師は比較的 “年齢に左右されやすい職業” といえます。

早期にハサミを置く背景には、体力的な要因に加え「若い感覚についていくのが難しい」「若い子に交じってサロンで働きづらい」等の理由も考えられます。その点、訪問美容は自分より高齢のお客様を相手にすることが多く、自身の経験を活かして伸び伸びと働くことができます。

実際、訪問美容の業界では40代以上のスタイリストさんが数多く活躍されています。

 

4.時間の融通が効きやすい

訪問美容の仕事は予約制が基本なため、自身の都合にあわせながら仕事を埋めることができます。1回の自宅への訪問時間は、おおよそ1時間~2時間半ほどなので「今日は午前中だけ稼働しよう」「夕方までに終わるよう予約を入れよう」など、融通を利かすことが可能です。

サロン経営やフリーランスとして活動している美容師さんなら、サロン業務のスキマ時間に訪問美容の仕事を挿し込み、効率良く働くこともできるでしょう。

日中だけ・土日休みといった働き方もしやすいため、ママさん美容師にもおすすめです。

【おすすめ記事】訪問美容は主婦さんが無理なく働きやすい!理由や1日のスケジュールを紹介

 

5. 顧客の生涯に携わる美容師になれる

「長年も通ってくれていたお客さんが、足を悪くしてサロンに来れなくなってしまった」
「入院してしまった常連のお客様に、病院でも髪を切ってあげたい」

とくにキャリアの長い美容師さんであれば、こういった経験のある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

訪問美容の大きな魅力は、お客様が病気や怪我でサロンに来られなくなってしまっても、ご自宅や病院・施設に訪問し、美容サービスを届けられることです。お客様が望んでくださる限り、何歳まででも美容師として関わることができます。

【おすすめのコラム記事】訪問美容師インタビュー Vol.2│訪問美容とは「生涯の美容師」としてお客様に携わる仕事│重本 恵美子(シゲモト エミコ)さん

 

訪問美容師になるデメリット

落ち込む女性

メリットがある一方、訪問美容の活動には通常のサロン業務とは異なる苦労も伴います。訪問美容師ならではのデメリットについて見ていきましょう。

1.集客が難しい

訪問美容サービスを開始後、多くの美容師さんが苦戦する壁が「集客の難しさ」です。店舗をもたず、顧客層も高齢者や要介護者の方が中心の訪問美容は、通常サロンと集客方法も大きく異なるためです。

【対策として考えられること】
・ケアマネ―ジャーさんとの信頼関係づくりに重きを置く。
・無理のない範囲で、自分に合った集客方法を実践する。
・サロン時代のお客様の力を借りる。

訪問美容の業界で活躍するには在宅看護・介護に精通している、ケアマネージャーさんから信頼されることが非常に重要です。開業したら積極的にケアマネさんへの挨拶・サービスの紹介に足を運ぶことをおすすめします。

また「ポスティング」「SNS」「ウェブサイト」など、集客方法は多岐にわたります。実際に試してみて、自分が無理なく続けられるものを選択するのが良いでしょう。

【おすすめ記事】訪問美容師が実践したい集客アイデアと事前準備とは?タイプ別に紹介

 

2.軌道に乗るまで収入が安定しない

先述した「集客が難しい」ことに関連しますが、リピーターが定着し、事業がある程度軌道に乗るまでは安定した収入が見込めないといった懸念もあります。

【対策として考えられること】
・初期費用をかけない。
・別の収入源も持っておく(副業として始めるなど)。

最初から訪問美容の仕事だけで生計を立てるのではなく、軌道に乗るまではサロン美容師の仕事と掛け持ちするなど、複数の収入源を持っておくと安心です。

また道具も高価なものを最初から買いそろえるのではなく、段階的に必要なものを揃えていくと良いでしょう。

 

3.精神的に辛い現場もある

介護や医療の現場は、決して楽しいことばかりではありません。時には認知症のお客様から施術中に怒鳴られたり、髪を切るのを拒絶されたりすることもあります。

「1か月前まで元気だったお客様が、次に訪問したら亡くなっていた」というショックなケースも、訪問美容の業界では日常茶飯事です。

【対策として考えられること】
・辛くなったら、自分が「訪問美容師になろう」と思った初心に立ち返る。
・他の訪問美容師さんとコミュニケーションを取る。

活動が苦しくなった際は、「どうして自分が訪問美容師になりたいと思ったのか」に立ち返ることで、本来の目的を見失うことなく活動が続けられるでしょう。

また同じ苦労を経験している訪問美容師さん同士で、悩みを相談したり励ましあったりすることもおすすめです。

 

4.仕事に慣れるまで苦労する

どの業界でも同じですが、仕事に慣れるまでの最初の訪問時は、勝手がわからず苦労することも多いでしょう。寝たきりや認知症の方の施術など、サロン時代とは全く異なる技術やノウハウが訪問美容には求められるためです。

【対策として考えられること】
・現場数をこなし経験を積む。
・「最初は仕方ない」と割り切ることも重要。

実践力は最終的に現場でしか鍛えられません。また現在ベテランとして活動する訪問美容師さんも、最初からすべて上手くいったわけではありません。

スタートから「完璧にやろう」と思わず、まずは現場数をこなし沢山の経験を積むことに注力すると良いでしょう。

 

訪問美容師は儲かるのか?

お金を持った男性のイラスト

訪問美容師が儲かるか?と問われれば「やり方と個人の努力次第で、しっかりと収益を上げられる仕事」であると言えます。

ただし「訪問美容師一本で独立している」という美容師さんはどちらかと言えば少数派で、大手の訪問美容事務所に所属するか、サロン業務と並行して訪問美容の活動をしている方が多い印象です。

訪問美容サービスで安定的に収益をあげるためには

・リピーターを増やす
・割引などを工夫し、一度に複数メニューを利用してもらう
・本人とあわせてご家族にも利用してもらう

などの工夫が考えられます。

訪問美容の収入や効率的に売上をあげるコツについては、以下の記事も参考にしてみてください。

【おすすめ記事】訪問美容は儲かる? 儲からない? 効率よく収益をアップする方法・働き方を解説

 

訪問美容師の始め方

資格のため勉強に励む

訪問美容として活動を始めるためには、届出の申請や必要な知識・技術の習得などをおこなう必要があります。

【訪問美容活動にあたり必要な項目】
・訪問美容師に関する知識・技術の習得
・必要資格の取得
・(開業の場合)必要な届出の提出
・必要な道具の準備
・営業・宣伝活動

訪問美容師に必要な資格は、原則「美容師免許」のみですが、介護現場の知識を身に着けるためにも「介護職員初任者研修」の認定資格を取っておくのがおすすめです。

また個人でサービスを始める場合、開業届に加え自治体に応じて必要書類の提出が求められる場合もあります。自分の活動する市町村の規定を確認し、速やかに必要な手続きをおこないましょう。

【おすすめ記事】訪問美容師になるには?必要手順を6項目で解説 ( 働き方や資格・営業方法など )

 

まとめ

訪問カット後、鏡を見て嬉しそうに微笑む高齢女性と娘

訪問美容師の仕事は魅力的な点が多い分、介護や医療現場に携わるからこそ大変な思いを経験することもあります。

訪問美容師になる5つのメリット
・ミニマムに始めやすい
・ニーズの高まる業界である
・年齢を重ねても続けやすい
・時間の融通が利きやすい
・ 顧客の生涯に携わる美容師になれる

訪問美容師になるデメリット
・集客が難しい
・軌道に乗るまで収入が安定しない
・精神的に辛い現場もある
・仕事に慣れるまで苦労する


メリット・デメリットの両方を理解した上で、自身の「訪問美容師としての在りたい姿」を改めて考えてみてはいかがでしょうか?あなたの訪問美容活動を、心から応援しています。


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