訪問美容に管理美容師の資格は必要?取得する方法や意義・違法となるパターンも解説
結論からお伝えすると、訪問美容師さんで「管理美容師」の資格が必要となるのは、複数名で訪問美容サロンを運営する場合に限ります。
ただし高齢者や要介護者といった「感染症や薬剤トラブルによるリスク」に敏感な客層をメインターゲットとする訪問美容の世界において、衛生管理の正しい知識を備えておくことは非常に大きなメリットがあります。
【この記事のポイント4つ】
・管理美容師の資格は訪問美容師に必須ではない。
・しかし将来性も踏まえ、取得しておいて損はない。
・管理美容師になるには、3年以上の実務経験が必要。
・管理美容師資格は各都道府県が主催する3日間の講習を受ける必要がある
この記事では管理美容師講習の内容や資格を取る意義、認定資格の取得方法まで詳しく解説いたします。
Contents
管理美容師の資格は、訪問美容に必要か?
冒頭でも述べたように「管理美容師」の資格が訪問美容サービスで義務付けられるのは、2名以上のスタッフが訪問美容サロンで就業する場合のみとなります。
美容師である従業者の数が常時二人以上である美容所の開設者は、当該美容所(当該美容所における美容の業務を含む。)を衛生的に管理させるため、美容所ごとに、管理者(以下「管理美容師」という。)を置かなければならない。
そのため「個人でフリーランスとして訪問美容師をしたい」「個人事業主として独立したい」という方は、管理美容師の資格をもたず「美容師免許」のみで活動することができます。
またすでにサロンを経営しておりサービスの一環として訪問美容をおこなう場合も、別途管理美容師の有資格者を配置する必要はありません。
管理美容師の資格を訪問美容師が取得する意義とは?
法律上、従業員を雇わない限り訪問美容活動において「管理美容資格」は必須ではありません。しかし学べる内容や将来の可能性を広げるという観点から、個人の訪問美容師であっても管理美容資格を取得することは、意義がある行為だと思います。
管理美容師講習では衛生管理の方法や感染症について・事故時の対応方法など、訪問美容師があらためて知っておくべき重要なカリキュラムを学ぶことができるためです。
確か、管理美容師講習で講師が「サロンの流しにコレをメモして貼っておきなさい。いざという時必ず役に立つから!」と力説してくれたメモ。
貼ってます。感染症に直面する場は少なかったが、今は毎日確認。。
「ハイター(5%)で作る消毒液」吐物が付着した床ペットボトル500ml水にキャップ2杯のハイター pic.twitter.com/RIjJqkNi78— Nori-jue suzuki (@norijue_suzuki) April 6, 2020
ただし資格取得には講義の受講料や一定の時間も必要なため、自身の状況や優先順位を考慮して検討するのがおすすめです。
そもそも「管理美容師」とは?
「管理美容師」とは美容室や美容師業務を衛生的に保つため、専門知識を備えた衛生管理のプロフェッショナルを指します。
1968(昭和43)年に設けられた「管理理容師・管理美容師制度」により、2名以上が在籍する美容室は、1店舗に1名以上の管理美容師を置くことが義務付けられています。
「管理美容師」として活動するためには都道府県知事が指定した講習会の受講を修了し、資格を取得しなければなりません。
講習会では、お客様の安全はもちろん従業員が安心して活動するための「美容室やサービス業の衛生管理方法やその必要性」について学ぶことができます。
【管理美容師資格認定講習の主な内容】
・公衆衛生について
・店舗の衛生管理・構造設備
・従業員の健康管理
・消毒法とその用途
・感染症について
・衛生管理計画の立て方と自主点検について
・理容業に関する必要な申請や届出
など
※公衆衛生とは…国民の健康保持・増進のために、保健機関や地域・組織などによって営まれる「組織的な衛生活動」のこと。
管理美容師資格は近い将来、廃止されてしまう?
「管理理容師・管理美容師制度」ですが、実は2010年時の事業仕分けにより、制度の廃止が結論付けられたという過去があります。
・養成施設での保険衛生授業が100時間を越えるのに対し、管理美容師講習は18時間程しかない。
・受講者の多くが受かってしまう。
といったのが主な要因だったようです。
※事業仕分け…国や地方自治体の行政サービスにおいて、その必要性や運営主体を議論・選定する作業のこと。財政難の見直しを目的に実施される。
このように一度は廃止の可能性があった管理美容師資格ですが、最終的に取りやめとなることはなく、現在も引き続き「2名以上が在籍する美容室・理容室の営業」において必須要件とされています。
法律で規定されている制度ということもあり、近い将来に管理美容師が廃止される可能性は今のところ少ないと言えるでしょう。
管理美容師の資格を取得できる条件・方法は?
管理美容師の資格ですが、美容師であれば誰でも取得できるわけではありません。美容師法にのっとり、以下の要件を満たす必要があります。
取得条件 | 美容師免許を取得してから、3年以上美容業務に従事した者。 |
取得する方法 | 厚生労働大臣の定める基準に従い、都道府県知事が指定した講習会課程を修了する。 |
管理美容師になるための「講習会」は、各都道府県にて年1回以上のペースで開催されています。
「全3日間・合計18時間のカリキュラム」にすべて参加することで、資格を取得することができます(仮に欠席した場合、翌年のカリキュラムにて不足分を受講する必要があります)。
例えば「大阪府」で管理美容師資格を取得する場合「公益財団法人 理容師美容師試験研修センター」のエントリーフォームから、受験日を指定して申し込みをする必要があります。
【講習の申し込み・資格取得までの流れ】
1.受講申込エントリー
↓
2.受講申込書提出
↓
3.受講者票の交付
↓
4.講習会の受講
↓
5.修了証書の交付
講習受講料は全国一律で16,000円、再受講料は8,000円となります。
申し込みに関する詳細については「講習会の受講方法(理容師美容師試験研修センター)」に記載されています。
管理美容以外で、訪問美容師が法律に違反しないための留意点
訪問美容師として活動する際には、管理美容師資格のほかにも必要な手続きや必須要件があります。
法律やルールを守って訪問美容活動をおこなうために、知っておきたいポイントを最後に確認しておきましょう。
開業時は保健所に届け出を出す
訪問美容師として活動をスタートする際、必要となる手続きが「開業届の提出」と「保健所への訪問美容活動の申請」です。
特に要注意なのは「保健所への訪問美容活動の申請」で、届出の要不要は各都道府県や市区町村によって異なります。「届出を必須」とする自治体では保健所への申請をしなければ、訪問美容師として就業することはできません。
「届出の有無」に関しては、各都道府県のホームページよりチェックすることが可能です。
関連記事:【関西2府4県+α】訪問美容を始めるうえで届出が必要な自治体を徹底調査してみた。
美容師、または理容師免許は必須要件
(いまさらですが)訪問美容活動をするにあたり、取得が義務付けられているのが「美容師・理容師」の国家資格です。
仮に美容師免許をもたず活動をおこなうと「法律違反」となり、罰金の対象になることや、将来的な美容師免許取得にリスクを抱える可能性が考えられます。
一方で訪問美容活動に有利となる資格はありますが、必須とされる資格は「美容師・理容師免許のみ」となります。訪問美容の資格に関する内容は、以下の記事でも詳しくまとめています。
訪問美容における資格・スキルの重要性と訪問美容師が自宅でもできるスキルアップ方法
管理美容師は訪問美容師に必須ではない、けれど検討する価値はあり
訪問美容活動において「管理美容師資格」の取得は必須要件ではありません。しかし将来の可能性を広げる・改めて衛生管理について学びを深めるといった観点から、取得しておいて損のない資格でもあります。
興味のある方は無理のないタイミングで、管理美容師認定講習の受講を検討してみてはいかがでしょうか?
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