訪問・福祉ネイリストとは?始め方や必要な資格・リアルな現場の様子などを徹底解説
訪問・福祉ネイリストとは高齢者・要介護者のお宅や施設を訪問し、ネイルサロンと同様のサービスを提供する仕事です。
コロナ化や高齢化が進行する中、外出せずにネイル施術が受けられる訪問・福祉ネイルの需要はますます高まりを見せています。
実際、ネイリストや美容師・訪問美容の業務とあわせて、あるいは介護分野で就業をされながら、訪問・福祉ネイリストとして活動されている方は少なくありません。
この記事では
1.訪問・福祉ネイリストの働き方
2.訪問・福祉ネイリストが取得すべき3つの資格
3.訪問・福祉ネイリストとして活動するための準備や流れ
といった内容について、これから開業を志す方の参考になる内容を解説いたします。
Contents
訪問・福祉ネイリストとは?
訪問・福祉ネイリストとはその名の通り、お客様のご自宅や介護施設に訪問し、ネイルアートやネイルケア・ハンドマッサージなどのサービスを提供するお仕事です。
主なお客様は
・高齢者
・要介護者
・重い病気や怪我を患っている方
・出産や育児中の方
など様々な理由でネイルサロンへ足を運ぶのが困難なものの、ネイルアートを楽しみたいという方が対象となります。
訪問・福祉ネイリストの働き方
訪問・福祉ネイリストの働き方としては
・個人で活動する(開業、フリーランス)
・企業に所属する(業務委託やアルバイト)
の主に2パターンがあります。
また専任でやられている方もいらっしゃいますが、割合的には
・個人で美容室やネイルサロンをしながら掛け持ちで。
・フリーランスとして店舗で働くかたわら副業で。
・訪問美容サービスの1メニューとして提供している。
・主婦業や育児と並行してスキマ時間におこなっている。
など、何かしらのお仕事と掛け合わせてされている方が多い印象です。
訪問・福祉ネイリストが取得しておきたい資格3選
結論からいうと、訪問・福祉ネイリストとして活動するために「絶対に必要な資格」はとくにありません。というのも美容師免許などと違い、ネイリストの場合は専門の国家資格がそもそも存在しないためです。
一方ペナルティの有無には関与しませんが、資格を持っておくことで専門的なサービスが提供でき、よりお客さんからの信頼を得やすくなるといったメリットもあります。
サービスを提供する上で取得をおすすめしたい、3つの資格をご紹介します。
1.JNECネイリスト技能検定試験
訪問・福祉ネイリストにおすすめしたい資格1つ目は公益財団法人日本ネイリスト検定試験センターが主催する「JNECネイリスト技能検定試験」です。
「ネイリストの登竜門」ともいえる資格で、現役で活躍するネイリストの多くが、活動にあたりネイリスト技能検定を受講しています。
実際に求人情報をみると、採用条件に「ネイリスト技能検定2級以上 必須」などの文言をうたうネイルサロンも少なくありません。
試験は3級・2級・1級の3段階で、合格にはかなりハイレベルな技術の習得や専門知識の学習が必要となります。訪問ネイルの活動においては、2~3級の資格までを習得しておきたいところです。
一長一短で取得するのは難しいですが、持っておけば間違いなく訪問・福祉ネイリストとしての実績を積みやすくなる有益な資格です。
2.JNAジェルネイル技能検定試験
訪問・福祉ネイリストにおすすめしたい資格2つ目は、NPO法人 日本ネイリスト協会が主催する「JNAジェルネイル技能検定試験」です。
ネイリストの2大資格といえば、先述した「ネイリスト検定」もしくは「ジェルネイル技能検定」と言われるほど、ネイル業界では権威性の高い資格の1つです。
ネイルのことを幅広く学ぶネイリスト検定と比べ、より「ジェルネイルに特化した内容」を専門的に習得できる点が特徴です。
初級・中級・上級の3つのレベルがあり、初級と中級に合格することで上級試験にチャレンジすることが可能です。
3.介護職員初任者研修
誰でも初心者から、介護に関する基本的な知識や技能を学べるのが「介護職員初任者研修(旧ヘルパー2級)」です。介護職員さんはもちろんご家族の介護を目的とする一般の方まで、幅広い層が受講されているのが特徴です。
おすすめな理由は「介護職員初任者研修」の資格を取得することで、個人のお客様はもちろん、訪問先の顧客となる施設責任者やケアマネージャーさんからの信頼を得やすくなるというメリットがあるためです。
また学んだ技術を直接施術で活かす機会は少ないかもしれませんが、高齢者の方や要介護者の方への気遣いや言葉がけ、あるいはそのご家族への対応に活かすことができます。
資格を取得するには全130時間の講義すべてを受講し、最終日に実施される資格認定試験にて合格する必要があります。訪問美容師向けに書かれたものですが、ぜひ以下の記事も読んてみてください。
【徹底解説】訪問美容師が「介護職員初任者研修」を受ける本当のメリット│受講者のリアルな声も紹介
「福祉ネイリスト認定制度」という専門資格もある
完全初心者から訪問・福祉ネイリストを目指せる、一般社団法人日本保健福祉ネイリスト協会(JHWN)が主催する「福祉ネイリスト認定制度」という資格講座もあります。
全21時間(3時間×7日間)の講習で、福祉ネイリストの概要から基本的なネイル技術までを一通り網羅することが可能です。
短期間でネイリストの概要を学べる一方、難易度の高い施術技術を身に着けることはできないため、講義後に別のネイリスト資格を受講するか、あるいは実践を通じながら独学で技術を磨いていく努力が必要でしょう。
また資格取得者には協会を通じて仕事を受けられる機会もあるため、人脈なしで1から福祉ネイリストとして活動したい方にもおすすめです。
訪問・福祉ネイリストを個人で始める5つのステップ
「これから個人で訪問・福祉ネイリストとして活動していきたい」という方に向けて、活動を始めるにあたり必要な手順についてご紹介します。
1.自分の活動方法・目的を明確にする
2.必要な知識や技術を習得する
3.道具を揃える
4.市区町村で必要な手続きを済ませる
5.集客活動をおこなう
1. 活動の目的を明確にする
活動を始めるにあたり、まずは訪問・福祉ネイリストとして活動する目的を明らかにしましょう。
本業として収益をあげたいのか、ボランティアとして活動したいのか、別業務のオプションとしてやっていくのか、それに応じて活動の仕方にも大きな違いが生まれます。
例えば「利益を追求しない働き方」であれば、それほど高度なネイル技術や、積極的な営業活動は必要ないかもしれません。逆に「将来的にメインの収入源にしていきたい」のであれば、介護施設との関係づくりや専門資格の習得などにも力を入れていくべきでしょう。
2.必要な知識や技術を習得する
目的が定まったら、訪問・福祉ネイリストとして実践に必要な知識や技術を習得します。おすすめの資格については、先述した「訪問・福祉ネイリストが取得しておきたい資格3選」で述べた通りです。
活動前の習得を目指すのもOKですし「介護職員初任者研修」などは、活動をスタートしてから並行して取るのも良いでしょう。
「ネイルの実践経験が浅くて不安」という方は、最初はボランティアやモニター価格からサービスを開始する、あるいは身内や友人にモデルになってもらうことで実践経験を積んでいく方法がおすすめです。
3.道具を揃える
訪問・福祉ネイリストとして活動するために、必要なネイル道具や備品などを揃えておきます。基本的に揃えるべき内容は一般的なネイル道具と変わりません。
持ち運んですぐに現地で使用できるよう、大きめの化粧バッグやリュックなどにまとめておきます。
またなるべく持ち運ぶ道具を減らすため、施術時のテーブルや椅子・コンセントの穴などは訪問先で借りられるよう、予約時に打ち合わせしておきましょう。
【必要な道具の例】
カラージェル、ポリッシュ、リムーバー、消毒剤、ライト、ファイル、ニッパー、プッシャー、ベースコート、トップコート、ダストブラシ、プライマー、ペーパータオル、ゴミ袋 など
4.市区町村で必要な手続きを済ませる
訪問・福祉ネイリストとして開業する場合、活動拠点が所在する市区町村にて「開業届」を提出する必要があります。
届けは開業から原則1か月以内に、税務署の窓口・もしくは郵送にて申請する必要があります。開業届の提出方法や確定申告に関しては、以下の記事も読んでみてください。
【おすすめ記事】訪問美容師の開業届の書き方・提出方法まで徹底解説 | その他の必要な手続き・届出も紹介
5.集客活動をおこなう
訪問・福祉ネイリストとして活動する準備が整ったら、もっとも大切な「集客活動」をおこなっていきましょう。
・ポスティング
・ホームページ運営
・SNS(TwitterやInstagramなど)運用
・フリーランスや個人事業主向けプラットフォームへの掲載
といった活動に加え、近隣の老人ホームやデイサービスなどに挨拶まわりをしておくことも重要です。ネイル施術は1度の単価はそれほど高くはありませんが、施設で複数のお客様をまとめて施術できれば、しっかりとした収入にも繋がります。
また最初のうちはビジネスではなくボランティアの一環として施設を訪問し、知名度や人脈を広げていくのも1つの手段でしょう。
【おすすめ記事】訪問美容師が実践したい集客アイデアと事前準備とは?タイプ別に紹介
成功の秘訣は「小さく始めてみること」
訪問・福祉ネイリストの活動を成功させる鍵は、小さくスタートして徐々に活動の幅を広げていくことです。
仮にネイル経験が浅いのであれば「いきなり道具をすべて買いそろえるのではなく必要なもを徐々に揃えていく」、また今の仕事を辞めてしまうのではなく「まずは土日やスキマ時間を使いながら徐々に仕事を増やしていく」といった具合です。
活動の方法や道筋が不安な場合は、現役で訪問・福祉ネイリストとして活躍している方に、一度アポを取って話を聞いてみるのもおすすめです。
まとめ
訪問・福祉ネイリストは、ネイルという施術を通じて様々な年齢層のお客様に笑顔を届けられる魅力的なお仕事です。
もちろんプロとしての専門的な知識や技能は必要ですが、訪問・福祉ネイリストとして最も大切なのは「活動を通じてお客様に喜んでもらいたい」という強い思いではないかと思います。
ぜひ本記事も参考にしていただきながら、胸を張って活動できるような訪問・福祉ネイリストを目指していただけると嬉しいです。
当サイト「GOCHOKI」では、訪問・福祉ネイリストにもきっと役立つ「訪問美容」に関するコラムを毎月配信しています。ぜひそちらも合わせて覗いてみてくださいね。