【最新データ】美容業界の問題点と改善策5つ【経営成功のために】
現在、「顧客数の減少」「客単価の低下」「従業員の確保が難しい」といった課題を感じている美容室オーナーは多いと思われます。
要因の1つとして挙げられるのが「美容室の飽和状態」で、実際に厚労省の統計によると美容室数と美容師数は年々増加し続けています。
2017年の時点で日本の美容室数は25万軒を超え、美容師数は約52万人となりました。
1店舗あたりの従業美容師数を計算すると、約2名です。
このような美容室の飽和状態が続くと、美容室の経営は今後さらに厳しいものになっていくことが予想されます。
その中にあっても、自らの美容室経営を成功させていくためには、美容業界のトレンドや動向をしっかり追っていくことが大切です。
この記事では「今の美容業界が抱える問題点」とともに「美容室経営を成功させるための改善策」をポイントごとにお伝えいたします。
また高齢化社会の現代において、需要が高まりつづけている訪問美容についても合わせてご紹介しますので、参考のためにぜひご一読ください。
Contents
今の美容業界が抱える問題点3つ
それではまず、現代の美容業界が抱えている以下3つの問題点について、順番に解説いたします。
・顧客数が減っている
・客単価が下がってきている
・従業員がなかなか確保できない
①顧客数が減っている
厚労省調査によると、美容師の数は1997年には32万人ほどでしたが、2017年には50万人を超えています。
また、美容室の店舗数は、1997年には20万店舗、2017年には25万店舗ほどとこちらも増加しています。ただし、美容師の増加率に比べると美容室の増加幅は少ないといえます。
美容師・美容室は増加していますが、少子高齢社会にあって、日本の人口自体は縮小しています。その結果、ひとつの美容室が確保することのできる顧客数は減っています。
こちらも厚労省調査によると、1店舗あたりの顧客人口(顧客数)は2009年には546人でしたが、2017年には1店舗あたり493人に減っています。この傾向は今後も続くと考えられるでしょう。
こういった現状を踏まえ、実に8割の美容室オーナーが経営上の問題点として「客数の減少」を挙げています。また、それに続く問題点としては「施設・店舗の老朽化」「客単価の減少」「原材料費の上昇」「水道・光熱費の上昇」といったものが挙げられています。
確保できる顧客が減ると、その分収益も下がってしまいます。「美容室1店舗あたりの顧客数が減っている」というのは、現代の美容業界の主要な問題点のひとつといえるでしょう。
②客単価が下がってきている
美容業界の客単価は、2009年から2017年の間で、実に約15%減少しています。特に、パーマ代は減少率が高く、25%も下がってきています。
近年の日本は、物価が上がる一方でほとんど賃金は上昇していません。経済的に厳しい人が増える中で、美容にかけるお金もあまり増加していない、というのが現状でしょう。
厚労省の「国民生活基礎調査」を見ると、カットにかけるお金はおおむね1年に5,500円前後で推移している一方、パーマにかけるお金は2009年の5,663円から2017年には3,677円に下がっています。
美容室として生き残っていくためには、カットやパーマの技術はもちろん、別のアピールポイントや強みを作っていく必要があります。
③従業員がなかなか確保できない
美容業界は離職率の高い業界のひとつです。高い離職率の主な原因は、店舗ごとに違いはあるのですが、「厳しい労働環境」や「給与面への不満」である、と言われています。
また、美容師になる人の多くが独立志向を持っていることも理由のひとつと言われています。さまざまな美容室でキャリアを積んで、自らの独立のための準備をする人も少なくないため、1つ1つの美容室勤務が短期間となってしまうのでしょう。
さらに近年では、フリーランスの美容師やスタイリスト、フリーランス美容師向けの面貸しスペースも増えています。
美容師を含む生活衛生サービスの有効求人倍率(美容師1人あたりの求人数)も、令和2年11月3.00倍だったものが、令和4年11月には3.33倍と少し上がってきています。
従業員の確保が難しくなっている現状には、以上のような要因があると考えられます。
美容業界の問題点を克服し、経営を成功させるための改善策5つ
ここまで、現代の美容業界の問題点を見てきました。美容室オーナーにとっては逆風とも思えるこの状況の中で、美容室経営を改善・成功させていくためにはどうすればよいのでしょうか。
美容室経営を成功させていくための5つの改善策をお伝えします。
①新規顧客の開拓、リピーターの確保
まずはじめに必要なことは「新規顧客の開拓、リピーターの確保」です。
「なにを当たり前のことを…」と思われるかもしれませんが、新規顧客の獲得は美容室経営の永遠のテーマです。
一般的には、新規顧客とリピーターの割合は2:8〜3:7程度がよいとされています。なので、特にリピーター集客には気を配りながら、それぞれに対して効果的なアプローチを考えていく必要があります。
■新規顧客の開拓
新規顧客に対しては、以下のようなアピールが考えられます。
・SNS(インスタやFacebookなど)を活用した集客
・自社サイトの強化(検索順位を上げる、見やすさを改善する、時期にあったサービスをこまめに掲載するなど)
・サービスの内容や料金、予約システムをわかりやすくする
・お店の雰囲気が伝わるようなSNSや自社サイトを作成する
実際、かなり多くの人がインスタやインターネットサイトでお店を知って、来店します。リピーターを増やすためには、まず新規顧客として来てもらうことが大切です。
「SNSにあげる画像を魅力的なものにする」「クーポンサイトなどだけでなく自社サイトでもしっかりとマーケティングを行う」といった工夫をすることで、新規顧客の増加につながるでしょう。
■リピーターの確保
リピーターに継続して来店いただくためには、毎回満足していただけるサービスを行なう必要があります。
そのためには、以下のような、顧客の満足感につながる接客・サービスに力を入れるとよいでしょう。
・毎回、丁寧にヒアリングする
・業務が忙しいときには、断りを入れた上で時間をいただく
・気持ちいい接客のために、研修などで接客態度を学ぶ
・店内の雰囲気を清潔なものにする
・「ここの美容室に通おう」と思わせる強み・アピールポイントを作る
・料金に見合ったサービス、料金以上のサービスを行なうために技術を磨く
リピーターは、安定した美容室経営のためには欠かせません。美容室にリピーターがつくことで、収入がある程度予想できるようになり、新たなサービスや事業展開をしやすくなります。
美容室経営に悩んでいる方は、まず「新規顧客の開拓、リピーターの確保」に注力されることをおすすめします。
②口コミの強化
厚労省の調査を見ると、顧客が行く美容室を決める要因の中でもっとも大きいものは「家族や知人からの紹介」と「インターネットサイトの情報」です。
このことからも、リアル、およびインターネットでの口コミ情報はかなり重要ということがわかります。
美容室経営の成功のためには、インスタやtwitterで友人や家族におすすめしたくなるような期間限定のイベントや、思わず口コミを書きたくなるような接客サービスに力を入れるなどの工夫が必要になります。
集客アイデアについては下記記事も参考にしてください。
→ 訪問美容師が実践したい集客アイデアと事前準備とは?タイプ別に紹介
③高齢化社会における新たなサービスの開拓
日本は、かなり前から少子高齢社会となっています。「2040年には人口の1/3が高齢者になる」とも言われている日本で美容室を経営するのであれば、高齢者を顧客ターゲットにしない理由がありません。
高齢者に求められている美容サービスのひとつといえば「訪問美容」です。老人ホームや介護施設などにいらっしゃる年配の方の中には「若い時のように美容室で髪を切りたいけど、足腰が悪くて美容室まで通えない」という方が多くいらっしゃいます。
そういった美容室に来ることが難しいお客さんのために、施設やお家に訪問してカットやパーマをするのが「訪問美容」です。
もしあなたの美容室で、まだ訪問美容を導入していないのであれば、新しいサービスとして訪問美容を検討してみることをおすすめします。(訪問美容については、この記事の最終章でさらに詳しく解説しています)
④従業員向け労働条件の整備
美容業界の問題点でも挙げましたが「従業員の確保の難しさ」は、美容室経営を続けていく上で大きな課題のひとつです。
「良い従業員に、長く勤めてもらう」ためには、労働条件の整備が必要になります。美容室オーナーであれば「自分の美容室のために」という思いでがんばれるかもしれませんが、雇われている従業員たちはそうではありません。
具体的には、以下のような点を改善していくことで、良い従業員たちが満足感を持って働ける職場作りに近づけていくことができるでしょう。
・労働時間の明確化
・残業時間の短縮
・休日の確保(完全週休2日など)
・雇用形態(正社員採用など)
・働きやすい環境の整備(時短、フレックス、産休、育休、介護休暇など)
・キャリアプランの明確化(どのように昇進、昇給していけるかなど)
働きやすい環境づくりのためには、明確な労働条件と余裕ある人員確保が重要です。
人員の確保については、フリーランスの美容師が多いという現状を利用して、人が足りない間は短期雇用のフリーランスや派遣を雇う、といった対応も考えられるでしょう。
労働環境の整備は、売上などにすぐ影響しにくい分、取りかかるのが遅れがちな部分です。
ただし、ここがしっかりしていると「この美容室で働きたい」「ここで働き続けたい」という思いを持った従業員が増えていき、結果として良い接客やリピーターの確保につながっていきます。
⑤コスト削減
労働条件の整備など、従業員の満足度を上げるためにお金をかけることは必要ですが、コスト削減できる部分はどんどん削り、収益を増やしていく必要があります。
コスト削減できる可能性がある部分として、たとえば「同じような機能・効果を持っている商品の中で、性能が悪くなく、より低価格のものを状況に応じて使い分けできないか」といった比較検討があります。
また、電子カルテなどのICTを導入することで、予約管理や顧客の情報管理、支払い処理などの業務をより簡単にする業務効率化もあります。
業務効率が上がることで、売上の出るサービスにより時間を使うことができるようになるでしょう。
現代では、さまざまなキャッシュレス決済を求めるお客さんも増えています。そういった顧客にも対応していくことで、新規顧客やリピーターの獲得にもつながっていきます。
以上、美容室経営を成功させていくための5つの改善策をお伝えしました。
では、美容室経営を成功させる上で注目したい「訪問美容」について最後に触れたいと思います。
訪問美容という選択肢|高齢の方に人気のサービス
訪問美容とは「美容室に行きたいけど行けない」「家や施設で、美容師のサービスを受けたい」といった思いを持つお客さんのもとに、直接訪問してヘアカットやカラーなどを行なうサービスです。
訪問美容の主なお客様には「高齢や、病気、ケガ、妊娠などで美容室へ行きたくても行けない」といった方がいます。
美容室のサービスを求めてくださる方に、直接サービスを届けに行くことができるので、非常にやりがいのある仕事であるとともに、高齢の方をお客様にできる仕事でもあります。
そのため、近年需要の高まり続けている高齢の方のニーズも満たすことができます。少子高齢化の今だからこそ、訪問美容はより求められているサービスであるということができるでしょう。
また、美容室オーナーが訪問美容を行なうことには、以下のようなメリットもあります。
・働き方を柔軟に組み立てられる
・サービスの初期投資が少なくて済む
・今後需要が拡大する可能性が非常に高い
今後の美容室経営のために、訪問美容の導入を検討してみるのはいかがでしょうか。
当サイト「GOCHOKI」では、訪問美容師になりたい方に役立つ内容の記事を多数掲載しています。訪問美容に興味がある美容師さんは、ぜひ参考にしてください。