【2040年問題】美容室経営を成功させていくための対応策4つ
65歳以上の人口が全人口の約35%になるといわれている2040年。日本では、この問題を「2040年問題」と言い、働き方や社会保障など、さまざまな分野での調整が図られています。
もちろん、美容室も例外ではありません。今後も美容室経営を続けていくために、高齢者増に対してどうアプローチしていくかということを考える必要があります。
ここでは、2040年問題やそれに伴う美容業界の変化だけでなく「2040年問題の中で美容室が生き残るための対応策」についてもお伝えしていきます。
「これからの美容室経営について悩んでいる」「2040年問題に早め早めに対処していきたい」という美容室オーナーの方は、ぜひ以下をチェックしてみてください。
Contents
2040年問題とは?
日本人口は、2010年以来減少の一途をたどっています。そして、ただ減少しているだけではなく、少子高齢化、つまり若者が減って高齢者の方が増えつづけているのが現状です。
この人口減少の傾向は今後も続くと考えられており、団塊の世代の人々が75歳となる2025年には、75歳以上の人口が全人口の約18%を占めるといわれています。
また、冒頭でもお伝えしたように、2040年には65歳以上の人口が全人口の約35%になると予測されています。
これは、言い換えると「日本に住んでいる人の約3人に1人が65歳以上になる」ということです。
そうすると、美容室の中には「おしゃれに興味のある若者」をメインターゲットにして経営されているところも多くありますが、今後その経営形態を保つことができるのかという疑問が湧いてきます。
また、高齢者の割合が増えるだけでなく、2065年には全体人口が9,000万人を割り込むとも言われ、顧客数自体が減っていくことも考慮しなければなりません。
2040年問題で美容業界はどう変わる?
上記で示したように、人口減や高齢者増によって、美容師、美容室の需要が減少する可能性の高い現代において、美容業界はどのように変化していくのでしょうか。
まず、人口についてだけ考えてみましょう。
厚労省の統計によると、2020年には12,615万人いる人口が、2040年には11,092万人、2065年には8,808万人に減少すると予測されています。
この人口を美容師の数で割ってみると、以下のような予測が可能です。
・2020年には美容師1人に対して人口から算出した顧客数は228人(12,615万人÷552,958人)
・2040年には美容師1人に対して人口から算出した顧客数は201人(11,092万人÷552,958人)
・2065年には美容師1人に対して人口から算出した顧客数は159人(8808万人÷552,958人)
(※2020年の美容師数は、「今日から実践!収益力の向上に向けた取組みのヒント」の2015年〜2017年の美容師増加率から美容師数552,958人を想定)
もちろん実際には、2065年にはもう少し美容師数は減少しているでしょう。しかし「2020年〜2065年の間に人口が3,807万人減少する」ということは「集客」という美容室の課題に大きな影響をおよぼすことは間違いありません。
また、美容室数においても同じことがいえます。
・2020年には美容室1店舗に対して人口から算出した顧客数は480人(12,615万人÷262,655店舗)
・2040年には美容室1店舗に対して人口から算出した顧客数は422人(11,092万人÷262655店舗)
・2065年には美容室1店舗に対して人口から算出した顧客数は335人(8,808万人÷262655店舗)
(※2020年の美容室数は、「今日から実践!収益力の向上に向けた取組みのヒント」の2015年〜2017年の美容室増加率から2020年の美容室数262655店舗を想定)
もちろん、上記の計算は試算なので、将来なんらかの原因によって「美容師・美容室の数が急激に増える」「美容師・美容室の数が急激に減る」といったことが起これば数字は大きく変わってくるでしょう。
しかし、予想もつかない大きな変化が起こらない限りは「美容業界が顧客を確保することが難しくなっていく」という現実は変わることがなさそうです。
「人口が減っていく」「高齢者が増えていく」中で、美容業界・美容室は変化に対応した経営をしていく必要があるといえるでしょう。
具体的な対応策について、次でお伝えします。
2040年問題の中で美容室が生き残るための対応策4つ
2040年問題を見越して、美容室ができる対応の最たるものは「急増していく高齢の方に向けたサービスを充実させること」でしょう。
ここでは、以下4つの対応策について順にお伝えいたします。
①エイジングケアサービスの充実
②訪問美容、介護美容への対応
③バリアフリー化
④安全衛生の徹底
①エイジングケアサービスの充実
美容業界における一大分野であるエイジングケアにより注力していくことは、これからの美容業界・美容室に求められている役割のひとつです。
美容師として働いている中で女性の美容に対する意識の高さをご存知の方は多いと思います。そういった美容師さんであれば、65歳以上の人口が全人口の約35%となる2040年には、加齢からくる悩みに対応できる美容室の需要が高まることは予想がつくでしょう。
特に40代以上の女性の悩みの代表的なものとしては以下のようなものが挙げられます。
・白髪
・抜け毛・ウィッグ
・髪のボリュームがでない
・髪の毛が細い
・髪がパサパサする、乾燥する
・髪が広がってまとまらない
・髪の痛みがはげしい
・髪のつやがなくなってきた
・スタイリングがうまくできない
など
2040年問題に対応していくためには、エイジングケアやエイジレスの施術を充実させていきましょう。
そうすることで、顧客の年齢層が上がっても、美容意識の高いお客さんがリピーターとして美容室を支えてくれるでしょう。
②訪問美容、介護美容への対応
訪問美容は、高齢の方や介護の必要な方、ケガをして動けない方や精神的な要因で外出の難しい方のいるところに訪問し、カットやカラーなどの施術を行うサービスのことです。
2040年問題によって高齢者が増えるということは同時に「足腰が悪く、遠出できない」「日常生活に介護が必要」「独居生活が難しく老人ホームで生活している」といった方が増えるということでもあります。
その中で「昔のように美容室へ行ってカットやカラーをしてもらいたい」と思っても、その思いを叶えられない人が、今現在も多くいらっしゃいます。
訪問美容師であれば、そういった需要にしっかりと応えることができます。
年配のお客さんが増えることがほぼ確実に予想される2040年。高齢の方に向けたサービスのひとつとして、訪問美容に取り組んでみてはいかがでしょうか。
当サイト「GOCHOKI」では、訪問美容師をやってみたい方に役立つ内容の記事を多数掲載しています。訪問美容に興味がある美容師さんは、ぜひ参考にしてください。
③バリアフリー化
高齢の方が安心して来店できる美容室にするためには、バリアフリー化も重要です。
段差の解消やスロープの設置などだけでなく、送迎のサービスなども行うことができれば、安心して利用できる美容室として重宝されることでしょう。
美容室経営のためにも、リピーターを大切にすることは重要です。いま利用してくれているお客さんが高齢になっても安心して来店できる環境を、今から少しずつでも整えておきましょう。
④安全衛生の徹底
高齢になると年齢から、薬剤への過敏性が高まったり抵抗力が落ちてしまうことがあります。
「これまでこの薬剤を使っていたし大丈夫だろう」と思って、いつも通りに施術していても、痛みや腫れなどの問題が起きるかもしれません。
なので、高齢のお客さんにはしっかりとヒアリング、カウンセリングをしながらサービスをしていきましょう。
また、ほこりや乾燥なども高齢の方の体調に悪影響を及ぼす場合があります。美容室内の清掃などの衛生面のチェックを怠らず、どんな年齢層のお客様であっても気持ちよく過ごしてもらえる美容室を目指しましょう。
まとめ
ここまで「2040年問題」と「2040年問題で美容業界はどう変わるか」というお話、また「2040年問題の中で美容室としてどう生き残っていくか」ということについてお伝えしました。
高齢社会への主な対応策のひとつとして訪問美容をお伝えしましたが、当サイト「GOCHOKI」では、訪問美容師をやってみたい方に役立つ内容の記事を多数掲載しています。
訪問美容に興味がある美容師さんは、ぜひ参考にしてみてください。