出張・訪問美容が違法になるのはどんな時?|具体例を解説!
少子高齢化が進み、美容室・サロンの集客が課題となる昨今、訪問美容(出張美容)という新たなサービスが注目されはじめています。
高齢で美容室に通うことが難しい方や育児中の方にサービスを提供する「訪問美容」は、美容業界において、今後ますます重要なものとなっていくでしょう。
ただ一方で以下のような悩みを抱えている方も少なくありません。
「訪問美容について詳しくない…」
「訪問美容をするには、なにか条件があるのでは?」
「訪問美容をするために何を準備すればいいかわからない」
そういった悩みに応えて、本記事では以下のような情報をお伝えします。
「訪問美容が違法になる場合とは?」
「訪問美容の対象になる顧客の条件5つ」
「個人でも訪問美容師はできるのか?」
「顧客減少に対して、なんらかの対応をしていきたい」「美容業界の変化、需要の変化に合わせたサービスを展開していきたい」という思いを持った美容師やサロンオーナーの方はぜひご一読ください。
Contents
【訪問美容】違法になる場合とは?
美容師の営業を取り締まる「美容師法」には、以下のような法令があります。
このことから「特別の事情がある」場合を除いて、美容室の外で施術することが原則禁止されています。
ここでは「違法になるケース」を3つご紹介します。万一にも当てはまることのないように気をつけておきましょう。
訪問先の顧客が訪問美容の対象になっていない場合は違法
「訪問美容をしてほしい」と言われたら、美容師としては断りにくく感じてしまうと思います。ただし、先ほども述べたように「特別の事情がある」と認められる場合にしか訪問美容での施術を行うことはできません。
たとえば、高齢の方や病気の方、育児中の方などがその「特別の事情」に当てはまります。(詳細はこのコラムの「訪問美容の対象になる顧客の条件5つ」をご覧ください)
なので、訪問美容の営業をかけるときや、訪問美容サービスを頼まれたときには「相手が訪問美容施術の対象になっているか」をまず確認するようにしましょう。
届出ができていない場合は違法
訪問先の地域によっては、保健所への届出ができていなければ、訪問美容は違法になります。
たとえば神奈川県川崎市では、訪問美容業務の申請・承認について以下のように書かれています。
美容師法において、美容師は、美容所以外の場所で美容の業を行ってはならないと定められ、営業の場所が制限されています。ただし、美容師法施行令に規定する特別の事情がある場合には、美容所以外の場所で美容の業を行うことができます(出張美容)。
また、美容所以外の場所で行うが出張業務に該当しない1日限りの美容行為については、美容師等について、あらかじめ届け出る制度があります。
訪問美容を新たなサービスとして展開する場合、訪問先地域の保健所に確認を取り、申請を行いましょう。そうすれば違法になることなく、訪問美容サービスを提供することができます。
美容師免許を持っていない場合は違法
訪問美容は美容業務のひとつなので、美容師免許は必ず必要です。
もし「免許は持ってないけど、美容室を開くわけじゃないし、訪問美容師としてならカットサービスしてもいいのでは」という思いで訪問美容をしてしまうと、以下の定義・法令に違反して、違法営業となってしまいます。
1定義
美容師は「美容を業とする者」をいい、美容師法に基づき厚生労働大臣の免許を得なければならない。
美容師の免許を持たないものは美容を業として行うことはできない。
美容とは「パーマネントウェーブ、結髪、化粧等の方法により、容姿を美しくすること」とされている。美容師がコールドパーマネントウェーブ等の行為に伴う美容行為の一環としてカッティングを行うことは美容の範囲に含まれる。
また、女性に対するカッティングはコールドパーマネントウェーブ等の行為との関連を問わず、美容行為の範囲に含まれる。染毛も理容・美容行為に含まれる。業とは反復継続の意思をもって行うことで、有料・無料は問わない。また、美容師が美容を行う場合には器具やタオル等を清潔に保たねばならない。
(引用:美容師法概要)
(無免許営業の禁止)
第六条 美容師でなければ、美容を業としてはならない。
(引用:美容師法)
以上のような3つのケースでは、訪問美容は違法となります。
あなたが「今後、訪問美容師として活動していきたい」と考えているのであれば、違法な活動となっていないか注意しておきましょう。
訪問美容の対象になる顧客の条件5つ
美容法によると、以下の条件を満たす場合に「訪問美容(出張美容)」が認められる、としています。
3美容所
美容師は、美容所で美容を行わなくてはならない。ただし、疾病等により美容所に来られない者に対して行う場合や婚礼等の儀式に参列する者に対してその儀式の直前に行う場合、その他都道府県が条例で定める場合には出張して行うことができる。
なお、出張専門で行う美容師も対象者がこの条件を満たす限り可能となる。
(引用:美容法概要)
引用文中の「疾病等により美容所に来られない者に対して行う場合や婚礼等の儀式に参列する者に対してその儀式の直前に行う場合」について、以下の5つに分けてより詳しく見ていきましょう。
1、高齢、または病気の方
2、結婚式などで必要な方
3、育児中の方
4、芸能関係の方
5、山間部の僻地に住んでいる方
(注:実際に、自ら訪問美容サービスを実施されるときには、各都道府県や市区町村によって、訪問美容に関する条例が異なるため、訪問先の地域にある保健所の確認を取るようにしてください)
1、高齢、または病気の方
高齢、または病気などの原因により美容室に来ることができない方は、訪問美容の対象となります。
またこの場合、介護をしている方(家族など)に対する美容サービスが許可されることもあります。
ただし「美容室に通うことができない」と判断された場合、訪問美容の許可がおりるので、高齢であれば、もしくは病気であれば必ず訪問美容が許可されるわけではない、という点には注意が必要です。
訪問先の地域の保健所で「訪問美容をしてよい」と扱われるかどうかは、必ず問い合わせて確認するようにしましょう。
2、結婚式などで必要な方
結婚式に出席する方は、美容法概要にあった「婚礼等の儀式に参列する者」に当たるので、訪問美容(出張サービス)が基本的に認められています。
ただし、原則認められているのは当日の訪問美容(出張サービス)のみです。経済産業省の見解では「リハーサルやフォトウェディングに対する訪問美容(出張サービス)は認めない」となっているので、その点には注意しておきましょう。
(参考:フォトウェディング等におけるヘアメイクサービスに係る美容師法の取扱いが明確になりました、経済産業省)
3、育児中の方
高齢や病気だけでなく、育児中の方への訪問美容(出張サービス)も原則認められています。
特に小さい子どもの育児中には、なかなか長時間ひとりで家を空けることが難しいため、訪問美容が認められる可能性が高いでしょう。
しかし、こちらの場合も「家族等の援助が受けられる」と判断された場合、訪問美容が認められない可能性はあります。
4、芸能関係の方
モデルの方や芸能人の方など、芸能関係の人であれば、出演の直前に美容サービスを受けられる可能性があります。
ただし、こちらに関しても保健所の判断によるところが大きいので、必ず所管の保健所に問い合わせるようにしましょう。
5、山間部の僻地に住んでいる方
美容室や理容室がない地域に訪問して美容サービスを行う場合、訪問美容が許可されることがあります。
高齢や病気、育児中の方への訪問美容が許可される場合は「本人が動くことがむずかしい」という理由でしたが、こちらの場合は「本人は動けるが、近くに美容室がない」という理由で訪問美容が可能となります。
ここまで、訪問美容の対象となる人を5パターンご紹介しました。
とはいえ、最終的には保健所の判断を仰ぐことになりますので、実際に訪問美容をされる際には、必ず訪問先の地域の保健所に確認を取るようにしてください。
個人でも訪問美容師を目指すことは可能!
以上のことから「訪問美容を新しいサービスとして行う」ことを考えると、以下のような、やらなければならないことが数多く出てきます。
「保健所に確認を取り、申請を行う」
「訪問美容に必要となる道具を揃える」
「訪問先の衛生確保をする」
「訪問美容の顧客集客を行う」
「訪問美容に適した接客を学ぶ」
それらを考えると「個人でゼロから訪問美容を始めるのは難しいのかも…」と思う方も少なくないでしょう。
ですが最近は、訪問美容師をサポートしているサイトがいくつか存在します。私たちGOCHOKIもそのひとつです。
訪問美容師をサポートしているサイトを利用することで「訪問美容に必要な道具や準備」「注意点」「接客技術」といった知識を得ながら、訪問美容を実施していくことができます。
今から個人で訪問美容師を始めるのであれば、訪問美容サービスを提供している組織に所属し、経験を積んでいくこともオススメです。
まとめ
ここまで「訪問美容が違法になる場合とは?」「訪問美容の対象になる顧客の条件5つ」「個人でも訪問美容師はできるのか?」といったことをお伝えしました。
少子高齢化が進んでいる現状を考えると、訪問美容は今後さらに主要な美容サービスとして広がっていくことが考えられます。
先を見据え、訪問美容を新たなサービスとして検討しているのであれば、ぜひ一度訪問美容のGOCHOKIのホームページに目を通してみてください!