美容室経営でかかる経費の内訳13種類|経費を抑える工夫も解説
美容室経営をしていると、さまざまな出費が発生します。
その中で
「どうすれば経費を抑えて経営改善できるのか」
「どの出費が経費として計上できるのか」
と悩まれている美容室オーナーの方も少なくありません。
美容室にかかる経費には、お店の状況や経営状態によって削減できる経費と、お店をやっていく限り削減することが難しい経費があります。
ここでは、美容室の経営を改善するために、美容室経営にかかる経費の具体例や経費を抑える工夫についてお伝えします。
Contents
美容室の経費として計上できるものとできないものの違い
美容室の経費として計上できるものは、基本的に「美容室の業務に関するものすべて」です。
(具体例は次章「美容室経営で発生する代表的な経費、13種類」でお伝えします。)
ただし美容室業務で必要であっても、プライベートでも利用する可能性が高い支出については、経費として部分的にしか認められません。
例として、被服費や美容費などが挙げられます。
被服費については、仕事用のユニフォームを購入した場合、経費として計上できます。
また、美容費については、他店のサービス調査などの名目であれば、経費として計上できるでしょう。
経費として計上する場合には、万が一監査などで確認された場合に「仕事で使用しました」と説明できる必要があります。
以下に経費計上できる場合とできない場合の具体例を示します。
具体例を見て、どういったものが経費になるのか把握しておきましょう。
【経費になる】
1、仕事用のユニフォーム
2、競合店舗調査のために受けた美容サービス
【一部経費になる(家事按分*できるもの)】
1、自宅兼美容室として、美容室経営をしている場合
※家事按分とは、経費を「仕事で利用している割合:私用で利用している割合」で割り、一部を経費として計上する制度です。
【経費にならない】
1、プライベートで着用する衣類
2、化粧品、アクセサリー
3、自分のために受けた美容サービスの費用
以上のように、美容室の業務に必要な費用のみ経費として計上できます。
ただ、場合によっては「経費として計上できるのだろうか…?」と悩むものもあると思います。
経費計上できるか悩んだ時には、税理士に相談することをオススメします。
美容室経営で発生する代表的な経費、13種類
美容室経営の代表的な経費には固定費が8種類、変動費が5種類の、計13種類があります。
ここでは、美容室を継続して経営していくためには欠かすことのできない経費(ランニングコスト)13個について、それぞれ解説します。
固定費と変動費
まず、美容室の経費には以下の2種類があります。
・固定費:収入の増減にかかわらず生じる経費
・変動費:収入の増減やスタッフの増減などに比例して変動する経費
固定費が高い場合、それを補うだけの収入がなければ経営を続けていくことは難しいでしょう。
一方で、固定費が安ければ、変動費で出費を調整しながら経営を続けていくことができます。
そのため、基本的に固定費は安いほうがよいと言えるでしょう。
ただ、「良い立地に出店したい」「良いスタッフを雇いたい」という思いを叶えようとすればするほど、固定費は高くなってしまいます。
経営の目標と必要になる経費のバランスを見極めることが大切です。
立地やスタッフに投資をして、その分の利益を回収できるかどうか見極めながら、固定費の金額を検討していきましょう。
固定費①家賃
美容室経営をしたければ、まずかかってくる経費が「家賃」です。
家賃は、美容室を経営している限り継続的に発生する経費となります。
そのためどこのテナントを借り、お店を出店するのかはじっくりと考えて決める必要があります。
美容室経営をする場合、家賃の目安は「想定売上の10%」と言われています。
例えば、月の売上(月収入から出費を引いた額)が100万円であれば、家賃としては10万円以内が適正といえるでしょう。
また、敷金礼金や内装工事、設備工事などの初期投資に関わる借入をした場合には、返済費の利息部分は経費になりますので、こちらも合わせて押さえておきましょう。
固定費②水道費
お客様の髪をシャンプー台で洗うために水は欠かせません。
水道費は美容室の代表的な固定費のひとつとして挙げられます。
美容師1〜3人ほどの美容室規模の場合、美容室の水道代は、1ヶ月に約8,000円ほどが相場といわれています。
ただし、集客率や営業時間によって水道代の金額は変わってきますので、その点には注意しておきましょう。
固定費③光熱費
お店をしていくためには、電気代、ガス代といった光熱費がかかります。
美容室のサービスでは、シャンプーをする水を温水にするためにガスが必要です。
一般的に、美容室でかかるガス代は1ヶ月あたり10,000円程度と言われています。
また、美容室でかかる電気代は、一般的には1ヶ月30,000円程度です。
ドライヤーやエアコン、照明など、美容室をしていく上で欠かせない設備を利用するために電気代は必要になります。
固定費④通信費
電話代、インターネット回線の費用も美容室経営には欠かせません。
光回線で、固定電話を使用している場合、1ヶ月当たり7,000円前後の経費がかかるでしょう。
「お客様からの電話予約を受け付ける」
「ヘアセットやヘアカラーの写真をSNSにアップする」
「待ち時間の間、お客様にタブレット端末で時間を潰してもらう」
など、さまざまな場面で電話、インターネットは必要になります。
固定費として忘れずに計上しておきましょう。
固定費⑤人件費
美容室を経営している場合、人件費も固定費に含まれます。
経営者の報酬、スタッフの給料、教育コストは人件費として計上され、社会保険料もその中に含まれます。
スタッフを雇っている場合、美容室経営の最も大きな経費となるのがこの「人件費」です。
スタッフひとりあたり20万円〜25万円ほど必要になります。
「十分な教育・研修を行う」「経験を積んだスタッフや優秀なスタッフを雇う」ためには、人件費が多く必要になってきます。
そのため、スタッフの雇用や教育は経営収支のバランスを見ながら考えていく必要があります。
固定費⑥保険料
火災保険や災害保険、盗難やクレームなどの損失に備えた保険など、店舗にかけている保険料は経費に計上できます。
保険に多く加入していればいるだけ、大きな金額になりますので忘れずに経費計上しておきましょう。
ただし、美容師個人の生命保険などは経費として計上できないので、間違えて計上してしまわないよう注意が必要です。
固定費⑦広告宣伝費
経営している美容室のことを知ってもらうためには、広告宣伝費もかかってきます。
美容室の宣伝手法としては、チラシの配布などからネット広告にいたるまで、さまざまなものがあります。
以下のような宣伝をする場合、広告宣伝費として経費計上することが可能です。
・美容室検索サイトにお店を載せる
・チラシを作ってポスティングする
・ネット広告にお店を載せる
一方で、費用のかからない宣伝手法もあります。
・看板やポスターを設置する
・Googleマイビジネスに登録する
・SNSを活用してWeb集客する
広告宣伝費の相場は、売上の10%以内とも言われています。
いくつかの宣伝手法を試した後は、あなたの美容室に適した宣伝手法のみに絞り込んでいきましょう。
そうすることで、広告宣伝費を抑えていくことができます。
固定費⑧技術研究費
美容スキルの上達を目的とした研修への参加費用、書籍の購入費用は「技術研究費」として経費に計上できます。
短期間の研修だけでなく、長期にわたる研修やセミナーであっても経費に計上することが可能です。
その場合、全体でかかる費用を月で割って、毎月計上することになります。
変動費①消耗品費
美容サービスの提供に欠かせない、ハサミ、くし、ドライヤーなどの道具は「消耗品費」として経費に計上できます。
また、業務で必要な印刷用紙やインク代、ボールペンなどの備品も同様に消耗品費として計上することが可能です。
ただし、10万円を超える物品については、消耗品費として経費計上できないので注意しておきましょう。
10万円を超える物品は消耗品ではなく資産として取り扱われます。
変動費②材料費
「材料」とは、シャンプーやトリートメント、カラーなどをする際に必要となる薬剤のことを指しています。
これらの薬剤については「材料費」としての経費計上が可能です。
材料費は、美容室のブランディング(高級路線、リーズナブル路線)などによって、かかる費用が大きく変わってきます。
とはいえ、一般的な材料費の目安は売上の10%前後、もしくは美容師1人あたり月60,000円前後が相場と言われています。
変動費③旅費交通費
競合店舗の視察やセミナーへの参加など、業務に必要な移動であれば「旅費交通費」として計上できます。
競合店舗やセミナー先が遠方で宿泊も必要な場合には、宿泊費用も旅費として計上することが可能です。
変動費④修繕費
内装、外装の修繕や、設備の修理などは20万円以内であれば「修繕費」として経費計上されます。
経年劣化による修繕だけでなく、災害が理由の修繕でも同様に修繕費として計上できます。
ただし、修繕費が20万円を超える場合は、資本的支出と見なされるため、固定資産として毎月減価償却で対応しなければなりません。
変動費⑤雑費
「雑費」は、これまでに挙げた経費に当てはまらない出費全般です。
たとえば、美容室で出たゴミの処分費用、店舗の清掃費用、美容室経営に関わる費用の銀行振込手数料などが挙げられます。
固定費、変動費で上に挙げたような経費には当てはまらないけど、美容室業務に関わる出費があったときには、この「雑費」で計上することができます。
経費を抑え、利益率を上げるための工夫
「収入を上げたい!」と思ったときに、真っ先に思いつくのは「顧客売上の増加」です。
ですが、月に入ってくるお金を増やしたいのであれば、同時に出ていくお金を減らすこと(経費削減)に取り組むことも大切になります。
経費を見直し、経費削減していく方法には以下のようなものが考えられます。
もしあなたの美容室でまだ見直しができていない項目があれば、ぜひこの機会に見直してみましょう。
・家賃を下げてくれるよう、契約や更新の際に交渉してみる
・効果のある広告とない広告を取捨選択して、広告費を削減する
・材料費が高すぎないか、買いすぎていないかを確かめる
・消耗品の仕入れ費用を見直し、良い仕入れ先を探す
・雑誌などの消耗品を定期購読などに切り替える
・通信費が高すぎないか、プランを下げられないか検討する
こういった経費は、月々でいえば小さな金額であっても、1年で考えると大きな金額となってきます。
見直せるものは見直して、500円でも1,000円でも経費削減できるようにしていきましょう。
経費のあまりかからない訪問美容という手段もある
「できるだけ経費のかからない美容サービスをしたい」という場合には、訪問美容を行うという方法があります。
訪問美容では、介護が必要な方や病気で外を出歩けない方、育児中で行政サービスなどを利用できなくて、お子さんの面倒を見ることが難しい方のもとに訪問して、ヘアカットやカラーなどを行います。
訪問美容師は、お客様の場所まで訪問して施術するため、店舗を持つ必要がありません。
そのため、経費の中でも金額の大きい「家賃」や「水道費」「光熱費」は必要なくなります。
また、ひとりで訪問美容師として働く場合は「スタッフに対する人件費」も必要ありません。
訪問美容では
「美容室に行きたくても足腰が悪くて行けない」
「子どもがまだ小さく、美容室まで足を運べない」
といったお客様に美容サービスをお届けすることができます。
経費をできるだけかけずに美容師として活躍したい方は、訪問美容師を選択肢のひとつとして考えてみてはいかがでしょうか。
まとめ
ここまで
・美容室の経費として計上できる固定費・変動費13種類
・経費を抑えるための工夫
・経費のあまりかからない訪問美容という美容サービス
についてお伝えしました。
当サイト「GOCHOKI」では、訪問美容師になりたい方に役立つ内容の記事を多数掲載しています。
訪問美容に興味がある美容師さんは、ぜひ参考にしてください。