BLOG

美容室の開業資金はいくら必要?資金の内訳や調達方法、費用の抑え方

2023.08.30

美容室の開業資金はいくら必要?資金の内訳や調達方法、費用の抑え方

美容師としての経験も積んできて、そろそろ自分の美容室を開業したい
今後のキャリアプランを考えても、美容室開業してオーナーとしてやっていきたい

美容師としてのキャリアが長くなってくると、上記のように考える方も少なくないのではないでしょうか?

美容室を開業するためには

・どこに開業するか
・どんなスタイルのお店にするか
・どれくらいの規模で始めるか

など、考えることがたくさんあります。

その中でも特に頭を悩ませる問題は「開業資金をいくら準備すればよいか」です。

ここでは

・美容室の開業に必要な資金
・開業資金の内訳
・開業資金の調達方法

といった開業に関わるお金回りのことについてお伝えします。

また後半では、開業資金の抑え方についてもお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。

※美容室を開業してスタッフを雇う場合、美容師免許だけでなく、管理美容師免許も必要になります。
ひとり美容室として開業する場合は美容師免許だけでも開業できます。

美容室を開業するために必要な資金はいくら?

美容室の開業資金はいくら必要?資金の内訳や調達方法、費用の抑え方

一般に、美容室を開業するためには、およそ1,000万円〜1,200万円が開業資金として必要といわれています。

この開業資金には

内外装工事費用(500万円前後)
備品購入費用(200万円前後)
物件取得費用(150万円前後)
運転資金(200万円前後)

などが含まれます。

ただし上記の金額は、スタッフを数名雇う場合の美容室開業に必要といわれる金額であるため、あなたの希望や条件によっては金額が上下することもありえます。

特に、開業する場所、美容室の広さ、スタッフの人数などによって、必要な開業資金の額は大きく変動するでしょう。

次に紹介する開業資金の内訳と用途を読んでみて、あなたの希望する美容室の開業資金がいくらになりそうか、考えてみてください。

開業資金の内訳と用途

美容室の開業資金はいくら必要?資金の内訳や調達方法、費用の抑え方

開業資金には「開業するときだけ必要な資金」「開業するときから継続的に必要な資金」があります。

ここでは、それぞれについて詳しく解説していきます。

<開業するときだけ必要な資金>
内外装工事費
物件取得費用(敷金・礼金・仲介手数料)
設備・備品購入費用

<開業するときから継続的に必要な資金>
物件取得費用(家賃)
広告宣伝費用
運転資金(光熱費、スタッフの給料など)

①内外装工事費用

美容室開業の費用の中で、もっともお金がかかるのが内装・外装の工事費用です。
一般的な美容室開業では、500万円前後かかるといわれています。

工事の具体的な内容は、天井や壁などの造作だけでなく、水回りやエアコン、電気やガスなど、美容室の営業に必須の工事にまで及びます。

美容室を理想の雰囲気にするために、また、水や電気を多く使用する美容室を問題なく営業するために、ここの資金は抑えすぎないほうがよいでしょう。

この費用も「どのような内装・外装にするか」などによって費用が変動しますので、いくつかの内外装工事業者に見積もりを取り、必要な費用の詳細を確認することをオススメします。

②物件(テナント)取得費用

物件(テナント)取得費用は、一般的には150万円ほどと言われています。
もちろん、こちらも場所や条件によって、金額の変動はあります。

この物件(テナント)取得費用は、以下のように細分化されます。

<物件(テナント)取得費用>
敷金:家賃3〜12ヶ月分
礼金:家賃1ヶ月分ほど
仲介手数料:家賃1ヶ月分ほど
家賃

これらのうち敷金・礼金・仲介手数料については、テナントを取得する際に払う必要があります。
ですので、これらは「開業するときだけ必要な資金」といえます。

ただし、家賃は一般的な賃貸物件と同じように、毎月かかる「開業するときから継続的に必要な資金」になります。

たとえば、家賃20万円の物件(テナント)を借りる場合は、以下のような金額が想定されます。

<家賃20万円の物件(テナント)取得費用>
敷金:60万円〜240万円
礼金:20万円
仲介手数料:20万円
家賃:20万円

総額:120万円〜300万円

一般に美容室開業をする場合、物件取得費用は「開業資金の15〜30%程度」を見積もっておくとよいでしょう。

③設備・備品購入費用

美容室の開業資金はいくら必要?資金の内訳や調達方法、費用の抑え方

美容室を開業するためには、大型美容器具や施術に使う備品を揃える必要があります。
この設備・備品購入費用は、およそ200万円程度かかるといわれます。

美容室開業に必要な設備・備品の一覧は以下の通りです。

・スタイリングチェア
・鏡
・シャンプー台
・デジタルパーマなどの専用機材(メニューによっては不要)
・ドライヤー
・待合室用の椅子やテーブル
・シャンプー、トリートメント
・カラーなどの薬剤
・タオル
・クロス、ケープなどの小物類
・電話
・レジ
・洗濯機
など

これらも、あなたが開業しようとしている美容室のスタイルや規模によって必要な数が変わってくることでしょう。

一般的には200万円ほどかかるといわれていますが、

・最初はアウトレットなどの安価な設備を使用する
・備品は、最低限必要なものだけをまず揃える

といった工夫をすることで、可能な限り必要な費用を抑えていくことができます。

④広告宣伝費用

開業資金のうち、変動が大きいのが広告宣伝費用です。

開業してしばらくはリピーターのお客様もいないので、Webサイトやショップカード、ビラの作成や、美容室検索サイトへの広告掲載などをして、ある程度お金をかけて宣伝する必要があるでしょう。

しばらくしてリピーターのお客様が増えてくれば、口コミでの集客も増えてくることが考えられるので、広告宣伝費用を下げていくことができるかもしれません。

オープン前・オープン時の宣伝は、集客の点からいってとても大切です。
お客様に来てもらうためにも、ここの費用をあまり抑えすぎないようにしておきましょう。

⑤運転資金

継続して必要になる運転資金には、光熱費や薬剤費、スタッフのお給料などが含まれます。
そして、この費用は一般的には月に200万円前後かかるといわれます。

もちろんこちらも、美容室の規模や雇うスタッフの人数によって金額は変わってきます。

運転資金は、開業するときにだけかかる費用とは異なり、毎月、毎年かかってきます。

美容室の経営が軌道に乗るまでには6ヶ月〜1年かかるともいわれていますので、開業する際にはできれば1年分の運転資金を確保した状態で始められると安心です。

資金調達については、日本政策金融公庫などで融資を受ける方も多くいます。

次章で「開業資金の調達」についてお伝えします。

開業資金の調達をするとき、注意しておくべきポイント

美容室の開業資金はいくら必要?資金の内訳や調達方法、費用の抑え方

以上見てきたように、美容室の開業には多くのお金が必要になります。

・美容室を経営している先輩は、みんなこの開業資金をひとりで貯めたのだろうか?
・こんなにお金を貯めるなんて、いつまでかかるか分からない

と不安に思われるかもしれませんが、実際には多くの美容師が日本政策金融公庫などから融資を受けて独立をしています。

条件や審査はありますが、融資を利用することができれば、開業資金のおよそ3/4を貸してもらうことができます。

たとえば、開業に1,000万円必要であれば、250万円を貯めた時点で融資を利用する選択肢を取ることができます。
(この250万円を自己資金、融資の750万円を他人資金(借入)といいます。この場合の自己資本率は25%です)

日本政策金融公庫のような公的機関や金融機関が審査を行う際には、この自己資本比率がチェックされます。

お金の返済能力があることを証明するために、開業資金のうち1/4以上は確保しておくことが求められます。

また、事業(美容室)の計画性や返済能力の可否を確認するために、審査の際には以下のような点もチェックされます。

・開業予定地の仮押さえをしているか
・自己資金をどの程度用意できているか
・創業計画書、事業計画書がしっかりしているか
・税金や公共料金の未納や滞納がないか
・金融商品の返済遅延をしたことがないか
・面談での受け答えに問題はないか

融資制度を探す、日本政策金融公庫

「できるだけ早く開業してキャリアを積んでいきたい」と思っている方は、すでに融資を受けたことのある先輩のアドバイスなども参考にしながら、融資を受けることを検討してみるとよいでしょう。

1人美容師や訪問美容師であれば、開業資金を抑えられる

美容室の開業資金はいくら必要?資金の内訳や調達方法、費用の抑え方

開業資金を抑える方法として

・1人美容師として開業する
・訪問美容師として開業する

という方法があります。

ここでは、それぞれの方法について説明します。

1人美容師の場合

一般に、1人美容師に必要な開業資金は800万円〜1,000万円ほどといわれています。

融資を受けることができれば、自己資金は200〜300万円ほど用意できれば開業できる計算になります。

1人美容師が開業資金を抑えられる主な理由は

・スタッフを雇えるような広い店舗を借りる必要がないこと
・1人で営業するため、スタッフの人件費がかからないこと

が挙げられます。

開業資金の中でも金額の大きい、物件(テナント)取得費用、運転資金(スタッフのお給料)が抑えられるので、その分必要な開業資金も少なくてすむのです。

また、1人美容師の場合「面貸しやレンタルサロンなどを活用する」方法もあります。

この場合、美容室としての設備・環境が整った場所を、施術の間だけレンタルすることになります。
そのため、極端に言えば開業資金0円でも美容師として独立することができます。

この形で活躍している美容師はフリーランス美容師とも呼ばれています。

フリーランス美容師の働き方に興味がある方は、以下コラムも参考にしてみてください。

→ フリーランス美容師の集客方法7つ|成功するために押さえたいポイント

訪問美容師の場合

美容室の開業資金はいくら必要?資金の内訳や調達方法、費用の抑え方

もうひとつの開業資金を抑える方法として「訪問美容師」という選択肢があります。

訪問美容は、高齢や病気などのために外出が難しい方に向けて、カットやカラーを提供するサービスです。

その名の通り、個人宅や施設(老人ホーム、介護施設など)を訪問して施術をするので、実店舗を持つ必要がありません。

そうすると、開業資金のうち物件(テナント)取得費用や内外工事費用がかからないため、大きく費用を抑えられます。

訪問美容という働き方は、高齢社会が進む日本において将来性の高い仕事ともいわれています。

訪問美容の詳細について興味ある方は、ぜひ以下コラムもご覧になってください。

参考コラム:
→ 訪問美容の始め方を5項目で解説!現役美容師のアドバイスも紹介

→ 訪問美容を始める美容室オーナー様へ|仕事内容やメリットを紹介

→ 訪問美容師の開業届の書き方・提出方法まで徹底解説 | その他の必要な手続き・届出も紹介

まとめ

ここまで「美容室開業資金の相場」「開業資金の内訳」「開業資金の調達方法」についてお伝えしました。

また後半では、開業資金を抑える方法として「1人美容師」「訪問美容師」といった選択肢について説明しました。

美容室を開業する方法は、以前より選択肢が多くなっています。
もし、1人美容師や訪問美容師にも興味があるのであれば、そちらの方向での開業も検討してみてはいかがでしょうか。

当サイト「GOCHOKI」では、訪問美容師になりたい方に役立つ内容の記事を多数掲載しています。
訪問美容に興味がある美容師さんは、ぜひ参考にしてください。
→ 訪問美容「GOCHOKI」のお役立ちコラム