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認知症ケアにもなる福祉ネイル|メリットやユマニチュードも解説

2023.11.02

認知症ケアにもなる福祉ネイル|メリットやユマニチュードも解説

近年、「福祉ネイル」と呼ばれるサービスが話題になっています。

認知症の方の症状緩和や重度化予防の効果があるといわれているこの「福祉ネイル」について、以下の観点から解説します。

・福祉ネイルとは?
・福祉ネイルにはどういったメリット、良い点があるのか
・ユマニチュードというケア・コミュニケーション技法について

認知症の方の元気につながる「福祉ネイル」とは?

認知症ケアにもなる福祉ネイル|メリットやユマニチュードも解説

福祉ネイルとは、病気や認知症によって、介護を必要としている高齢者の方などを対象に、自宅や施設でネイルを施術するサービスです。

「お店に行くことはできないけど、爪の手入れをしてほしい」
「久しぶりにネイルがしたい」
といった要望に応えるために、福祉ネイルは行われています。

福祉ネイリストが自宅や介護施設まで訪れて施術してくれるので、こちらで移動手段などを用意する必要はありません。

また、一般的にネイル施術は時間がかかりますが、福祉ネイルの一般的な施術時間は10〜20分程度です。

福祉ネイリストは、利用者の方の体調や体力を考えて、短い時間でネイルを施せる技術を身につけています。

そのように利用者の方を第一に考えている福祉ネイルですが、その効果は「見た目がキレイになる」ということだけではありません。

施術中にお話しすること、言語以外のコミュニケーションを取ること、自分の手指を丁寧に扱ってもらっている感覚を受けることで、心のケアの効果も期待できます。

近年、この福祉ネイルは「ユマニチュードというケア技法とも親和性が高いのではないか」という点において、さらに注目されています。

「ユマニチュード」については後述します。

福祉ネイリストは、どんなネイルをしてくれる?

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福祉ネイルでは、ハンドマッサージや手指の保湿、カラーリング、ペイントアートといった施術をしてもらうことができます。

一方で、高齢の方は体力や抵抗力が弱まっていることが多いため、時間のかかるジェルネイルなどのサービスは原則提供されていません。

また、誤飲などを防ぐ観点から、パーツを使うネイルも、基本的に提供されておりません。

福祉ネイルでは、衛生管理や健康維持を非常に大切にしています。
マニキュアも、速乾性が高く、安全性も優れたものを使うことで、利用者の方の体調に最大限配慮しています。

福祉ネイリストについて

福祉ネイルを行うために、資格は必須とはなっていません。
ですが「福祉ネイリスト認定制度」という資格制度は存在しています。

福祉ネイリストの資格を持っている人は、その資格を取得する過程で「高齢者への接し方やケアの仕方」「高齢者へのネイル施術」を学んでいます。

また、その学びの過程で「高齢の利用者おひとりおひとりの体調に配慮しながら施術する」という姿勢を身につけています。

→ 福祉ネイリスト認定制度(一般社団法人日本福祉ネイリスト協会)

福祉ネイルのメリット6つ|認知症の方に与える良い影響

認知症ケアにもなる福祉ネイル|メリットやユマニチュードも解説

福祉ネイルをすると、見た目がキレイになるということだけでなく、精神的な好影響も現れます。

「最近元気がない親に、少しでも元気になってほしい」
「ネイルをすることで気分を変えて、昔の自分を思い出してほしい」

とあなたが思っていらっしゃるのであれば、ぜひ一度福祉ネイルを利用してみることをオススメします。

ここでは、福祉ネイルをすることで得られる6つのメリットをお伝えします。

①自分の爪がキレイになる嬉しさを感じられる
②何日も効果が持続する
③日常生活の中で自分で何度も認識できる
④「短期記憶の障害」に対して働きかけることができる
⑤精神面なつらさの改善につながる
⑥コミュニケーションのきっかけになる

①自分の爪がキレイになる嬉しさを感じられる

ネイルのメリットは、なんといってもまず「自分の爪がキレイになる嬉しさ」です。

若い頃ネイルをしていた、という女性はもちろん、男性であっても「自分の手指をネイリストさんに丁寧にケアしてもらえること」で大切に扱われているという喜びを感じることができます。

②何日も効果が持続する

ネイルは一度塗れば、色が落ちるまで楽しめます。

最近は介護施設などを訪問し、利用者にメイクを施すメイクセラピーなども盛んですが、メイクという性質上どうしても1日で落とさなければなりません。

その点、福祉ネイルは効果の継続時間が長い美容サービスであるといえるでしょう。

③日常生活の中で自分で何度も認識できる

手指というのは、日常生活の中で何度も目に入る体の部位です。

ネイルをしていると「物を取ろうとしたとき」「書き物をしているとき」「コップを持とうとしたとき」など、本当に頻繁にネイルをしている自分の指を見ることになります。

そして、その度に「オシャレをしている自分」への喜びや嬉しさが感じられます。

ネイルをしている、という喜びや嬉しさを感じることで、普段の気持ちを明るく保つことに一役買ってくれるでしょう。

④「短期記憶の障害」に対して働きかけることができる

ネイルをしていることで、翌日以降などにも「福祉ネイルを受けた」という記憶が蘇りやすくなります。

普段何気なく手を見たときに「あれ?爪に色が塗ってあるな」と思い、それから「あぁそうだ。ネイリストさんが来られて塗ってくれたんだった」と思い出すことで、短期記憶の活性化につながります。

このように、認知症の症状に対してネイルを通じて働きかけることは「彩爪介入(さいそうかいにゅう)」とも呼ばれています。

⑤精神面なつらさの改善につながる

福祉ネイルの施術は、施術行為の中に「相手の目を見る」「話す」「手に触れる」といった動作が含まれています。

これらの動作は「あなたは私にとって大切な存在です」と伝えるための技術である「ユマニチュード」が大切にしている考え方と重なります。

※「ユマニチュード」については次章で詳しくお伝えしています。

認知症の方は、その症状から

「前はできたことができなくなっている…」
「自分がなぜここにいるのかわからない」
「知らない人に囲まれてどうすればいいかわからない」

といった無力感や苛立ちを感じることが少なくありません。

そのように感じている認知症の方に対し、ネイル施術を通して「あなたは大切な存在なんですよ」と伝えることで、精神的なつらさを改善することにつながります。

⑥コミュニケーションのきっかけになる

ネイル施術では、ネイリストとネイルしてもらう人が1対1で向き合います。

そのとき、手に触れながらネイルをしてもらうことで心の距離が縮まり、自然と会話も生まれてきます。

それがコミュニケーションのきっかけとなり、普段あまり喋らない方が施術中いろいろなお話をしてくださることも少なくありません。

また、完成したネイルを見た他の利用者やスタッフが「キレイになったね!」と声をかけてくれるなど、ネイルの持つ力は施術中だけでなくその後も続きます。

このように、福祉ネイルはコミュニケーションのきっかけとなる力も持っています。

認知症の進行を緩和する、ユマニチュードとは?

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ユマニチュードは、フランスの体育学の専門家であるイヴ・ジネストとロゼット・マレスコッティが開発したケア・コミュニケーションの技法です。

認知症ケアを含む多くの現場で用いられているこのユマニチュードは、「あなたは私にとって大切な存在です」と利用者に伝えることが大切である、としています。

そして「あなたは私にとって大切な存在です」と伝えるためには、以下の4つの技術が重要であるとしています。

以下、日本ユマニチュード学会 より引用

 

「見る」技術
私たちが相手を見る時、多くの場合仕事の対象部位を見ています。
たとえば口腔ケアのために口の中を見る、といったように。
しかし、「見る」ことで相手を大切に思っていることを伝えるためには、仕事のための「見る」つまり手技に必要な視覚情報を得るだけでは十分ではありません。
「見る」ことが伝える言葉によらないメッセージは、たとえば同じ目の高さで見ることで「平等な存在であること」、近くから見ることで「親しい関係であること」、正面から見ることで「相手に対して正直であること」を相手に伝えています。
逆に、ベッドサイドで寝ている人に立って話しかけるとき、そんなつもりはなくても見下ろすことで「私のほうがあなたより強い」という非言語の否定的メッセージが届いてしまいます。

「話す」技術
ケアをする時には「じっとしていてください」「すぐ終わります」などの言葉を発しがちですが、このような言葉にはそんなつもりはなくても「私はあなたに命令しています」「あなたにとって不快なことを行なっています」というメッセージが言外に含まれてしまっています。
これでは相手に優しさを届けることはできません。
「話す」ときも仕事のための「話す」ことだけではなく、相手のことを大切に思っていると伝えるための技術を用います。
低めの声は「安定した関係」を、大きすぎない声は「穏やかな状況」を、前向きな言葉を選ぶことで「心地よい状態」を実現することができます。
また、相手から返事がない時には、私たちは次第に黙ってしまいます。
無言の状況は「あなたは存在していない」と伝える否定的メッセージとなるため、ケアの場に言葉をあふれさせる工夫として、ユマニチュードでは自分が行なっているケアの動きを前向きな語彙で実況する「オートフィードバック」という方法を用います。

「触れる」技術
ケアを行う時、たとえば着替え、歩行介助などで私たちは必ず相手に触れていますが、その時相手をつかんでいることに私たちは無自覚です。
つかむ行為は相手の自由を奪っていることを意味し、認知症行動心理症状のきっかけとなってしまうこともよくあります。
触れることも相手へのメッセージであり、相手を大切に思っていることを伝えるための技術を用います。
具体的には、「広い面積で触れる」、「つかまない」、「ゆっくりと手を動かす」ことなどによって優しさを伝えることができます。触れる場所もコミュニケーションの重要な要素です。
できるだけ鈍感な場所(たとえば背中、肩、ふくらはぎなど)から触れ始め、次第により敏感な場所(たとえば手、顔など)に進みます。

「立つ」技術
人間は直立する動物です。
立つことによって体のさまざまな生理機能が十分に働くようにできています。
さらに立つことは「人間らしさ」の表出のひとつでもあります。
1日合計20分立つ時間を作れば立つ能力は保たれ、寝たきりになることを防げるとジネストは提唱しています。
これはトイレや食堂への歩行、洗面やシャワーを立って行うなどケアを行う時にできるだけ立つ時間を増やすことで実現できます。

 

これらのうち、「見る」「話す」「触れる」という3つの点について、福祉ネイルは親和性が高いといえます。

また「立つ」については、福祉ネイル施術における「施術のために10〜20分座っていただくこと(座位の保持)」が寝たきりの予防につながるでしょう。

このように、福祉ネイルとユマニチュードの親和性が高いということもあり、福祉ネイリストの多くはこの「ユマニチュード」という技法を意識した施術を行っています。

ネイルをしてくれるサービスには「訪問美容」もある

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「福祉ネイルの施術をしてもらいたい」と思ったとき、福祉ネイリストに頼むほかに「訪問美容」を利用するという手段もあります。

訪問美容と聞くと「ヘアカットやヘアカラーしかしてないのでは?」と思われるかもしれません。

ですが、訪問美容の中には、ネイルやマッサージなどのサービスを提供している場所も存在します。

もし「すでに親が訪問美容を利用している」「福祉ネイルだけでなく、訪問美容も利用したい」とお考えなのであれば、福祉ネイルもしてくれる訪問美容を探すことをオススメします。

まとめ

ここまで「福祉ネイルとはなにか」といったことから「福祉ネイルのメリット6つ」「ユマニチュードというケア技法」などについてお伝えしました。

また、福祉ネイルは「訪問美容」を介してサービスを受けることもできます。

あなたの親に合ったサービスを見つけるために、この記事の情報がお役に立てば幸いです。

当サイト「GOCHOKI」では、訪問美容に関心ある方に役立つ内容の記事を多数掲載しています。
訪問美容に興味がある方は、ぜひ参考にしてみてください。

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