小さな美容室を成功させるために|集客や開業前後のポイントを解説
「美容師として経験も積んできたし、そろそろ独立したい」
「独立するなら、自分の理想のサービスを提供できる小さな美容室を持ちたい」
美容師としての経験も積み、スキルも身についてくると、上記のように考える方も多いのではないでしょうか。
丁寧な接客や、お客様ひとりひとりに合わせた施術が行える小さな美容室は、美容師として理想の成功像のひとつといえるでしょう。
ただ「小さな美容室を開業しても、継続してやっていけるのだろうか」「集客や経営がむずかしそう…」といった問題も思い浮かびます。
そこでここでは新規顧客を獲得し、リピーターを増やし、小さな美容室経営を成功させていくためのポイントをお伝えします。
特に「開業前にすべきこと」「開業後の集客方法」「開業後も成功し続けるためにやるべきこと」についてお伝えしますので、あなたの開業プランの参考にしてみてください。
Contents
小さな美容室を成功させるポイント3つ
美容室経営を成功させるために、まず押さえておくべき3つのポイントについて解説します。
①他店舗のリサーチをする
美容室開業に踏み切るとき、ロールモデル(お手本)がない状態では「理想の経営像」が掴めず失敗してしまう可能性が少なくありません。
なのでまず「あなたの理想とする小さな美容室」を探してみましょう。
「この店舗はお店の雰囲気もサービスの内容も、自分がしたいものに近いな」
「この美容室のオーナーさんは、自分と似た考えを持っていそうだ」
と思える美容室を見つけることで、既に経営されている美容室から多くのことを学べます。
自分の理想に近い店舗が見つかったら、お客さんとして実際にサービスを受けてみましょう。
そのなかで「このサービスや接客は素敵だった」「あそこは自分だったらこう改善するかもしれないな」といった良い点や改善点を見つけられれば、自分の美容室経営に活かしていくことができます。
またもし、その美容室の美容師さんと仲が良ければ、経営に関するいろいろな悩みについて相談してみましょう。
先輩として、さまざまな情報を教えてくれるかもしれません。
上記のように、理想に近い美容室を探し、リサーチすることで「ゼロからすべて考える」ではなく「既に経営に成功されている美容室から学び、それを活かしながら開業する」という方法を取ることができます。
美容室経営に成功するためには、既に成功されている美容室から学ぶのが、一番の近道です。ぜひ理想に近い美容室を見つけ、リサーチしていきましょう。
②美容室のコンセプトを明確化する
先人の経営や知恵を学んだら、次にするべきことは「コンセプトの明確化」です。
お客様視点に立って考えたときあなたは、例えば「メニューは豊富だけど特徴のあまりない美容室」に継続して通いたいと思うでしょうか?
美容室を訪れるお客様の多くが「この美容室だからこそ通い続けたい」と思える場所を探しています。
なので、あなたが美容室を開業するに当たって「ここに通いたい!」と思ってもらえるような、しっかりとしたコンセプトを考えることはとても大切です。
コンセプトを決める際にはまず、自分が得意とする技術や、自分だけが提供できるようなサービスを中心に考えていくとよいでしょう。
ここで考えているコンセプトは、立地や客層、メニューにも大きく影響します。
地域に密着して、地元のお客さんに世代を超えて通ってほしいと思うなら「立地:住宅街」「客層:子ども〜高齢者」「メニュー:幅広く」となるでしょう。
一方で「うちの美容室でしかできないカラーをお洒落に関心が高い層に提供したい」と思うのであれば「立地:都心」「客層:お洒落に関心があり、ある程度お金を使える20代後半〜40代」「メニュー:カラー特化」となります。
このように、コンセプトを明確にすることは、そのまま「美容室の立地、客層、メニュー設定をどうするか」ということにつながるのです。
このように、お客さんに継続してきてもらえる美容室にしていくためには、コンセプトを固め、それに応じた経営計画を立てていく必要があります。
③オーナーとして美容室の経営課題を考えておく
理想に近い美容室のリサーチ、コンセプトの設定が済んだ後は、美容室オーナーとして「経営課題」について考えていく必要があります。
ご存知の通り、美容室には表の顔である「カットやカラーなどの施術を行う」「接客をする」という面だけでなく、「売上を管理する」「顧客数を把握する」「経費を計算する」「客単価設定する」などの裏方仕事が存在します。
開業後、経営を軌道に乗せ、小さな美容室として成功していくために、売上管理、顧客数把握といった経営課題について考えておくことが求められます。
以下に、経営課題の一例を示していますので、改めてチェックしてみてください。
・開業資金はいくら必要か
・設備投資は何が必要か
・必要な道具、薬剤は何があるか
・経費はいくらくらいかかりそうか
・売上目標はいくらにするか
・経営を続けるためにはどれくらいのお客様に来てもらう必要があるか
など
いかがでしょうか。
上記のような経営課題について、あらかじめ考えておくことで、経営を成功させるための足がかりとしていくことができます。
ぜひ開業前にしっかりとチェックしておきましょう。
関連コラム:
→ 美容室の開業資金はいくら必要?資金の内訳や調達方法、費用の抑え方
→ 美容室の生存競争を生き抜くための経営戦略、4つの型|美容室オーナー様向け
→ 美容室経営の悩み4つ|経営状態を改善する解決方法5選を紹介!
小さな美容室が集客で成功するための3つのポイント
美容室を開業して、まず一番初めに取り組まなければならない経営課題、それが「集客」です。
新規のお客様に来てもらい、リピーターを増やしていくためには、あなたの美容室がお客様にとって「特別な美容室」になる必要があります。
そのためには、以下のステップを進めていかなければなりません。
①知ってもらう
②信頼関係をつくる
③特別な価値を提供する
①知ってもらう
まずは、美容室の存在を知ってもらわなければ、お客様にも来てもらえません。
なので、美容室を開業してすぐの段階では、ビラ配りやSNS発信などの集客をしていく必要があります。
「①知ってもらう」段階の集客としては、以下のような方法が挙げられます。
・ポスティング、チラシ配布
・SNS(インスタグラムなど)での発信
・ブログやホームページでの発信
・予約アプリや美容室予約サイト(ホットペッパーbeautyなど)への登録
・カットモデルの依頼
まずお客様に知ってもらうことで「自分の美容室のコンセプトを伝える」「自分のサービスを提供する」というスタートラインに立てるようになります。
集客については、できれば開業前からしっかりと発信をしておくことをオススメします。
そうすることで、開業後お客様がまったく来ないという事態を避けることができるでしょう。
関連コラム:
→ フリーランス美容師の集客方法7つ|成功するために押さえたいポイント
②信頼関係をつくる
お客様に来てもらった後は、そのお客様が心地いいと思える信頼関係をつくっていくことが大切です。
信頼関係を構築するためには、お客様に
「自分は丁寧に扱われている」
「この美容室に来ると心地よく過ごせる」
「この美容室でカットしてもらうと、より好きな自分になれる」
と思ってもらえるような接客、サービスを行う必要があります。
お客様に信頼されるような接客のポイントは2つあります。
1つは、いきなり距離を詰めすぎない。
もう1つは、プライベートなことはある程度関係性ができてから聞く、ということです。
一見、当たり前のことのように思えるかもしれませんが「お客様の髪の悩みを聞き出そう」「踏み込んだ質問をして、仲良くなろう」と考えていると、相手の心地いい距離感を踏み越えてしまうことがあります。
お客様との信頼関係も、友達のそれと同じです。
満足のいくサービスを提供することはもちろん、それと並行して、ゆっくりと信頼関係を構築していきましょう。
③特別な価値を提供する
「この美容室のサービスはいいな」「ここの美容師さんは話してて楽しいな」と思ってもらえたとしても、その美容室で受けられるサービスが他の美容室でも受けられる場合、いずれ他店舗にお客様が流れてしまうかもしれません。
なので、集客、リピーター確保におけるもっとも強力な武器である、コンセプトに沿った「あなたの美容室でしか受けられないサービス」を用意していく必要があります。
お客様との信頼関係ができ、かつあなたの美容室でしか受けられないサービス(特別なカラーやストレート、パーマなど)があれば、お客様に「ずっとここに通い続けよう!」と思ってもらう強い動機づけになります。
美容室の安定した経営のためには、定期的に来店してくれるリピーターが不可欠です。
「信頼関係をつくる」「あなたのお店だけの強みを持つ」という点を意識しながら、リピーターが離れない美容室づくりをしていきましょう。
小さな美容室が成功し続けるために、開業してからやるべきこと
これまでにお伝えしてきたことを実行して、リピーターとなるお客様がついた後も成功し続けるためには、「生産性」「利益率」を考えていかなければなりません。
「お客様は来てくれているんだけど、経営が苦しい…」
「売上が思ったより上がらず、今のまま経営を続けていくのは難しい…」
「せわしなく働くのではなく、もっと無理のない働き方に変えていきたい」
上記のように感じたときが「生産性」「利益率」を見直すタイミングです。
生産性と利益率を上げるために「顧客単価」「時間単位の売上」を意識して、改善していきましょう。
例えば、同じように1日5人のお客様を接客している美容室でも、顧客単価が違えば大きな収益の差が生まれます。
A店:5人×5,000円=25,000円
B店:5人×8,000円=40,000円
(人数)×(単価)=(1日の売上)
1日の売上だと上記のような数字になりますが、これが1ヶ月、1年だと、以下のようにどんどん大きな差となっていきます。
A店:25,000円×20日=50万円
B店:40,000円×20日=80万円
(1日の売上)×(20日)=(1ヶ月の売上)
A店:50万円×12ヶ月=600万円
B店:80万円×12ヶ月=960万円
(1ヶ月の売上)×(12ヶ月)=(1年の売上)
このように、細かい数字を分析していくことで「自分の理想とする美容室経営に近づけるために何を変えればいいのか」がはっきりしてきます。
現在の「顧客単価」「時間当たり売上」を分析し、理想の値に近づけていく工夫をしていくことで、開業した後も経営を成功させていくことができるでしょう。
「訪問美容」という選択肢もある!
小さな美容室を開業する手段のひとつとして「訪問美容」というものが存在します。
「訪問美容」は、高齢や病気などで外出が難しい方向けに美容サービスを提供する働き方です。
この働き方のもっとも大きな特徴は、終日営業する一般的な美容室とは異なり「お客様からのオーダーが入った時間だけお客様のもとに向かい働けばよい」という点です。
小さな美容室を経営したい理由が「無理のない働き方がしたい」「子育てや家庭の事情などで、丸一日働くことが難しい」といったことであれば、この「訪問美容」も有力な選択肢のひとつになるでしょう。
訪問美容については、以下の記事でより詳しく解説していますので、よければご覧になってください。
関連コラム:
→ 訪問美容を始める美容室オーナー様へ|仕事内容やメリットを紹介
→ 訪問美容の「魅力」と「やりがい」とは?訪問美容師にはどんな人が向いている?
→ 訪問美容師の開業届の書き方・提出方法まで徹底解説 | その他の必要な手続き・届出も紹介
美容室を開業するとき、必要な条件・届出・手続き
事務的な話ですが、美容師は開業する際、開業届を出さなければなりません。
ただ、美容師はそういった手続きの専門家ではないため「これまでにそんな手続きをしたことがない」という方も少なくないでしょう。
具体的には、開業届を出すために以下の手順を踏む必要があります。
1.開業届の用紙を手に入れる
2.開業届を記入する
3.青色申告承認申請書を記入する(必要な場合のみ)
4.開業届を税務署に提出する
これらの手続き方法についてより詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
関連コラム:
→ 訪問美容師の開業届の書き方・提出方法まで徹底解説 | その他の必要な手続き・届出も紹介
煩雑な手続きにはなりますので、既に開業したことのある美容師が知り合いにいれば、教えてもらいながら進めることをオススメします。
まとめ
ここまで、小さな美容室を開業し成功させる際の「開業前のポイント」「集客方法」「開業後のポイント」についてお伝えしました。
また、美容師の開業手段として「訪問美容」も紹介しました。
当サイト「GOCHOKI」では、訪問美容に興味がある美容師の方に役立つ内容の記事を多数掲載しています。
訪問美容に関心を持たれた方は、ぜひ参考にしてみてください。