美容師を辞めたい!辞めるときのポイント4つ、その後のキャリアステップ
「念願の美容師になったけど、思ったよりきつくて辞めたい…」
「美容師を続けてきたけど、このまま今の働き方が続けられるとは思えない…」
と悩む方は、決して少なくありません。
ここでは「美容師を辞めたいと思う理由6つ」を、まずお伝えします。
その後、「辞めるとき」「辞めた後」に役立つ情報もお伝えしますので、あなたがこれからのキャリアを考える際の参考にしてみてください!
美容師を辞めたい理由6つ
同じ美容師の人たちは、どういった理由から「辞めたい」と感じているのでしょうか。
ここでは、美容業界で挙げられがちな「美容師を辞めたい理由」を6つお伝えします。
①人間関係の悩み
②給料面の悩み
③下積みの長さ
④アシスタントから卒業できない焦り・不安
⑤クレーム対応の難しさ
⑥キャリアへの不安
①人間関係の悩み
美容室の抱える問題でよく聞かれるのが「人手不足」です。
平成30年の調査では、個人経営の施設の従業員数の平均は0.9人、会社の施設における従業員数の平均は3.6人となっています。
1施設当たりの平均従業者数
・個人経営:0.9人
・株式会社・有限会社:3.6人
株式会社・有限会社の平均従業者数は3.6人と、個人経営に比べると多いですが、それでも十分な人数とはいえないでしょう。
人手が足りないと、働く中で気持ちの余裕を持つことが難しくなります。
それが人間関係の悪化を産むことも珍しくありません。
また、美容師の給与は歩合制であることが多いです。
その制度によって、互いにスキルを高めあうという良い面もありますが、歩合の制度が美容師同士の敵対心・競争心につながり、人間関係に影響を及ぼすこともあるようです。
②給料面の悩み
令和4年度の美容師の全国平均年収はおよそ330万円、月額の求人賃金は25.1万円と、全体と比べて高いわけではありません。
※参考:厚生労働省 美容師
※参考:厚生労働省 令和4年賃金構造基本統計調査
上記の給与に対して、美容師は一日の拘束時間が長いため「給料が安い」「労働量と給与が見合っていない」と感じることがあります。
③下積みの長さ
アシスタントの期間が長いということも、美容師を辞めたいと思う理由のひとつではないでしょうか。
通常2〜3年ほどあるアシスタントの間は、通常業務だけでなく閉店後の片付けやカット・カラーの練習など、多くの時間を美容師の仕事に注ぐ必要があります。
また、下積みの期間は給与面も高くないので、そのことにキツさを感じる人もいます。
④アシスタントから卒業できない焦り・不安
専門学校に通って美容師免許を取った人は「美容師になったらスタイリストとして活躍したい」と思っている人がほとんどだと思います。
ですが、アシスタントの間は基本的にスタイリストの補助業務(シャンプーやドライヤーなど)を行うことになるので、「カット・カラーがしたいのになかなかできない」ということがフラストレーションになる人も少なくありません。
そこを乗り越えれば、スタイリストの楽しさを感じることもできますが、2〜3年のアシスタント期間の間に辞めたいという気持ちが大きくなることもあるようです。
⑤クレーム対応の難しさ
美容師は、専門的なスキルを活かす仕事であると同時に、接客業でもあります。
新人スタイリストとしてお客様にカットするときは、緊張からミスをしてしまうことやお客様とうまくコミュニケーションが取れないことも少なくありません。
そして、お客様の希望から外れた施術をしてしまうと、クレームにつながることがあります。
新人の頃は誰しもミスをするものですが、自分の担当したお客様からクレームをいただくと、気持ちが沈んでしまい、美容師という仕事が嫌になってしまうこともあるでしょう。
⑥キャリアへの不安
スタイリストとして経験を積んでいくと、キャリアの不安から「このまま雇われ美容師を続けていいんだろうか」と悩むケースがあります。
「自分のお店を持って独立」「フリーになって独立」「今いるお店の店長に目指す」など、どのようなキャリアステップを選ぶ場合も、それぞれのキャリアにあった勉強をしていく必要があります。
将来的に、美容師スタッフのままいくのか、それとも今いる美容室の美容師を辞めて次のステップに進むのか、悩むスタイリストは少なくないでしょう。
美容師を辞めたいとき、気をつけておきたい点2つ
「美容師を辞めたい…」と思っても、一度立ち止まって考えてみてほしいことがあります。
ここではそんな、辞める前に気をつけておきたい点を2つお伝えします。
①美容室によっては、働く場所を変えた方がいいかも
②できるだけ、アシスタント中には辞めない方がいい
①美容室によっては、働く場所を変えた方がいいかも
「今いる美容室の教育体制が整っていない」「雑用ばっかりで、スキルアップさせてもらえない」など、そこで働き続けてもスタイリストになれそうもない美容室であれば、働く美容室自体を変えることを検討してはいかがでしょうか。
教育体制やスタッフの扱いに問題がある美容室だけを見て、「美容師を辞める」と決めてしまうのはもったいないので、ぜひ他の美容室の求人を探してみてください。
教育体制が整っている美容室であれば、2〜3年よりも早い期間でスタイリストデビューできるかもしれません。
また、労働環境が改善されることで「やっぱり美容師を続けたい」と思える可能性もあります。
「美容師を辞める」の前に「働いている美容室を変える」ことを検討してみましょう。
②できるだけ、アシスタント中には辞めない方がいい
アシスタントをしている人は「アシスタント業務があまり楽しくない」「アシスタントの給料が安くて続けていくのが厳しい」といった不満や悩みを抱えているかもしれません。
ですが、あなたがもし美容業界で働いていきたいと思うのであれば、スタイリストになれるまでは辞めないことをオススメします。
スタイリストになれるレベルとは、具体的には、お客様の希望に対して全て1人で対応できる状態を指します。
スタイリストとしての経験とスキルを身につけた後であれば、別の美容室に転職することや美容師以外の美容業界にチャレンジすることもしやすくなるでしょう。
美容師を円満に辞めるためのポイント3つ
今いる美容室を辞めるときに、円満に辞めるためのポイントを3つお伝えします。
①辞める前に、辞めた後について考えてみる
②退職理由は前向きに伝える
③できれば、3ヶ月以上前に伝える
①辞める前に、辞めた後について考えてみる
もし気持ちの余裕があれば、辞めたい理由や今後やりたいことの整理、経験やスキルの棚卸し、次の職場に求める条件の明確化を行っておけるとよいでしょう。
以下のようにリスト化して、箇条書きで整理してみてください。
・辞めたい理由
・今後何をやりたいか
・これまでの自分の経験・スキル
・次の職場に求める条件(給料・仕事内容・勤務時間など)
など
上記のように、今の自分の気持ちや辞めた後にやってみたいことなどを書き出すことで、少し前向きな気持ちになれます。
また、退職交渉の時にも今後のことを聞かれる可能性が高いので、その対策にもすることができます。
②退職理由は前向きに伝える
「辞めて〇〇をすることで、自分の目指す将来像に向かっていきたいから」
「〇〇をやりたいと思っていて、次の道に進みたいから」
上記のような、辞めることがあなたの人生にとってプラスになるような内容であれば、美容室側も引き止めにくくなるでしょう。
一方で、「働いていて〇〇が嫌だった」「上司・同僚のこういうところが嫌だった」などは、揉める原因にもなるので基本的に伝えないようにしましょう。
不満を伝えることを控え、あなたのこれからを応援してもらえるような進路を相手に示すことで、辞める際に揉めることなく退職できます。
③できれば、3ヶ月以上前に伝える
退職の申し出は民法によると、2週間以上前であればいつでもすることができます。
※参考:厚生労働省 参照条文等
ですが、美容室のお客様の来店頻度は1〜3ヶ月毎なので、自分が担当しているお客様がいる場合、3ヶ月以上前に伝えると引き継ぎなどがしやすいでしょう。
美容室によっては、就業規則に「退職の申し出」について書かれていることもあります。
辞めることを伝える前にチェックしておきましょう。
美容師を辞めた後の転職先8つ
今後のキャリアを考えておくことの重要性についてお伝えしましたが、実際にはどのような転職先が考えられるのでしょうか。
ここでは、美容師の経験を活かせる転職先を8つお伝えします。
①他の美容室
②アイリスト
③訪問美容師
④フリーランス
⑤ネイリスト、エステティシャン
⑥美容メーカー
⑦ブライダル
⑧アパレル
①他の美容室
もっとも直接的に美容師の経験を活かせるのは、やはり美容室です。
「今働いている美容室の労働環境が良くない」「教育体制が整っていない」などの理由で退職を考えている場合は、より良い条件の美容室を探してみましょう。
②アイリスト
美容師の資格が活かせる転職先のひとつに、アイリストがあります。
なぜなら、アイリストは現在、美容師免許が必須の職業となっているからです。
美容師の仕事とも共通する「お客様の希望に合うデザインを考えて、実現したい」という思いを持っている方であれば、アイリストは有力な選択肢のひとつとなるでしょう。
③訪問美容師
美容師には「美容室で働く」という選択肢の他に「訪問美容で働く」という選択肢もあります。
訪問美容とは、高齢や病気などで自力で外出が難しい方の自宅・施設に訪問してカット・カラーなどを行うお仕事です。
美容室での仕事と違い、予約の入っている時間にお客様の自宅や施設を訪問し、施術する働き方になります。なので、美容室で働くよりも拘束時間は少ない働き方といえるでしょう。
また、お客様に高齢の方が多いので、その点でも通常の美容室業務との違いがあります。
「上記のような条件が自分に合いそうだ」と思う方はぜひ、訪問美容師を選択肢のひとつにしてみてください。
訪問美容師についてさらに詳しくは、以下の記事に記載されています。
<関連記事>
知っておきたい訪問美容師のメリット・デメリット| 収入の話や活動の始め方も解説
訪問美容師の給料はどのくらい?サロンワークとの比較や給料アップの方法も
アシスタントからでも訪問美容師になれる?具体的な方法・訪問美容の始め方を解説
④フリーランス
近年、フリーランスで働く美容師も増えてきています。
「労働時間を自分で設定したい」「自分がやりたい仕事に注力したい」といった思いを持つ方であれば、フリーランス美容師が向いているかもしれません。
ただし、フリーランスになることは「お店を持たない独立」を意味します。
美容師としてのスキルや経験が浅い状態でフリーランスになると、お客様の獲得に苦戦してしまうでしょう。
フリーランスの美容師を目指す方は、美容師としての経験やスキルを磨くとともに、Instagramなどで自分のブランディングをしておくことをオススメします。
フリーランスの集客方法には他にも、以下のようなものがあります。
①お客様につないでもらう、紹介してもらう
②モデルハント
③ポスティング・チラシ配布
④SNSで発信
⑤ブログやホームページで発信
⑥予約アプリ
⑦訪問美容
これらの集客方法については、以下記事に詳細が載っていますので、フリーランス美容師に興味がある方はぜひご覧ください。
フリーランス美容師の集客方法7つ|成功するために押さえたいポイント
⑤ネイリスト、エステティシャン
サービスを提供して、お客様に喜んでもらう仕事として、ネイリストやエステティシャンも挙げられます。
ネイリストの場合、美容師としての美的センスやデザインセンスを活かして働くことが可能です。
また、エステティシャンの場合、美容師とは少し方向性が違いますが、エステというサービスを通して「お客様に綺麗になってもらう」「お客様に喜んでもらう」ことができるでしょう。
どちらも国家資格などは必要ありません。
入社後の研修や民間資格の取得などでキャリアアップをしていくことができます。
⑥美容メーカー
美容商品の開発や製造、営業、販売などを行う美容メーカーも、転職先として考えられる職業のひとつです。
美容師としてさまざまな美容商品を使っていた経験や、お客様のカウンセリングをしてきた経験が活かせるでしょう。
⑦ブライダル
ブライダルも、美容師のスキルや経験を活かして働ける業界のひとつです。
結婚式場では、ブライダル美容師がヘアアレンジ、メイクなどを行います。
ヘアアレンジでは美容師の経験やスキルをそのまま使えるでしょうし、メイクも「お客様を綺麗にする」という点では美容師の仕事に似た目的を持っているといえるでしょう。
⑧アパレル
アパレル業界では、美容師としての美的センスやおしゃれに対する感度の高さが活かせるでしょう。
特に、アパレル業界はトレンドを追う力が求められるので、美容業界のトレンドに強い方は向いている可能性が高いです。
また、アパレル業界は、接客スタッフだけでなく、スタイリスト、バイヤー、デザイナーなどさまざまな職種があるので、幅広い選択肢の中からキャリアを選び取っていくことができます。
まとめ
ここまで「美容師を辞めたい理由6つ」と「美容師を辞める前・辞めた後に注意しておきたいこと」「美容師を辞めた後の転職先8つ」についてお伝えしました。
美容師免許を取るために学んだ経験やスキル、美容に対する関心や興味は、さまざまな分野で活かしていくことができます。
あなたが、美容師を辞めたいという気持ちの中身を見極め、今後のキャリアを考えていくために、この記事がお役に立てば幸いです。
当サイト「GOCHOKI」では、訪問美容師に関心ある方に役立つ内容の記事を多数掲載しています。
訪問美容に興味がある方は、ぜひ参考にしてみてください。