わがままな母親の介護が大変!原因や対処法、利用できるサービス
母親が高齢になってくると、身体機能や認知機能の衰えから、介護が必要になることがあります。
その際、要介護度の程度や認知症の有無などによって、実際の介護負担は大きく異なってくるでしょう。
母親自身のわがままや不機嫌に振り回される介護者は、介護負担に加えて強い精神的負担を感じることも少なくありません。
ここでは「介護中に起こる母親のわがままへの対応法4選」をご紹介します。
また合わせて「介護ストレスの対処法」についてもお伝えしますので、実際の介護に向き合うときの参考にしてみてください。
Contents
【介護】母親のわがままの原因って何?
介護を受けている母親のわがままは、どういった理由から生じているのでしょうか。
高齢の方の場合、以下のような可能性があります。
①認知症や精神疾患などの症状
②寂しさ、不安
①認知症や精神疾患などの症状
認知症になると
「自分が今どこにいるかが分からない」
「これまで出来ていた動作ができない」
「目の前にいる相手が誰だかわからない」
などの症状が現れます。
それらの症状から、恐怖や不安、無力感、情けなさを感じ、それが周りへのわがままとして表れることも少なくありません。
また、認知症は脳・脳神経に作用する病気なので、これまでの母親だったら言わなかったであろうわがままを言うようになることもあります。
②寂しさ、不安
介護が続くと、施設の利用で家から離れることや、ケアマネージャーや施設の人など知らない人と関わる機会が増えます。
そうすると、自分の慣れ親しんだ家を離れる寂しさや、知らない人たちにお世話される不安などが、わがままとして現れることがあります。
以上のように、高齢になることで認知症や寂しさ、不安などからわがままになる、といったことが考えられます。
ただ、現実問題として、母親のわがままに対処しながら介護を続けていく必要があります。
現在、日本の女性の健康寿命と平均寿命には12.06年の差があるため、介護が長期化する可能性も視野に入れながら、介護者(あなた)が今後も続けていくことができる介護の形を探らなければなりません。
介護中に起こる母親のわがままへの対処法4選
わがままを頻繁に言う母親をひとり、もしくは少人数で介護していると、介護負担と精神的負担が耐えられないほど大きくなることがあります。
介護中の母親のわがままについては、ひとりで抱え込んでしまわず、介護の専門家と一緒に対応していくことが大切です。
介護をする側が限界を迎えてしまわないように、ぜひ積極的に以下のような対処を取っていきましょう。
①地域包括支援センターに相談して、ケアマネージャーと一緒に対処する
②介護保険サービスを見直す
③訪問美容を利用する
④施設の利用を検討する
①地域包括支援センターに相談して、ケアマネージャーと一緒に対処する
地域包括支援センターとは、地域の高齢者の総合相談や支援、介護予防についての援助を行っている機関です。
令和5年時点で全国に5,431ヶ所(支所を含めると7,397ヶ所)設置されており、あなたのお住まいの地域の近くでも「地域包括支援センター」と検索するときっと見つけられるはずです。
この地域包括支援センターには、ケアマネージャーや社会福祉士、保健師が配置されており、介護の専門家から継続したサポートをしてもらうことができます。
わがままな母親の介護で困っているのなら、まずはあなたの母親が住む地域の地域包括支援センターに繋がりましょう。
たくさんの高齢者介護に関わってきた経験のあるケアマネージャーや社会福祉士、保健師たちが「あなたの母親がよりよく過ごしていくためにはどのような介護をすればよいか」を一緒に考えてくれるでしょう。
②介護保険サービスを見直す
「わがままを言う母親の介護を毎日するのは厳しい」
「せめてもう少し自分の時間を取りたい」
と感じている方は、介護保険サービスの見直しをケアマネージャーと一緒にするとよいでしょう。
介護保険サービスには、自宅訪問型のものだけでなく、施設通所型、施設宿泊型、施設生活型など、さまざまなものがあります。
もし今あなたが「自宅訪問型しか利用していない」「自宅訪問型と通所型しか利用していない」という状況にあるのであれば、それよりも長時間利用することのできるサービスに切り替えると状況が改善する可能性があります。
<介護サービスの分類>
・自宅に訪問
・施設に通う
・訪問・通い・宿泊を組み合わせる
・短期間の宿泊
・施設等で生活
介護サービスについてさらに詳しくは「在宅介護のために外出できない介護者の方へ|利用できるサービス5選」をご覧ください。
③訪問美容を利用する
介護は、日々の食事の用意や、入浴、洗髪など、ひとつひとつは小さなお世話の積み重ねが大きな介護負担となっていきます。
そこで利用できるサービスのひとつがこの「訪問美容」です。
訪問美容では、認知症などで美容室に足を運ぶことが難しい高齢者のお家に国家資格を持った美容師が直接訪問して、散髪を行ってくれます。
プロである美容師がヘアカットやヘアカラーをしてくれるので、日々多くの時間を家で過ごしている母親の気分転換にも繋がるでしょう。
実際、若い頃美容に関心があった方ほど、訪問美容サービスを利用して元気になるケースが多く見られます。
訪問美容では、ヘアカットやヘアカラーだけでなく以下のようなサービスを受けることができます。
<訪問美容メニュー>
・カット
・ブロー
・シャンプー
・お顔のお手入れ
・パーマ
・白髪染め、カラー
・トリートメント
また、条件が合えば介護を受けている母親だけでなく、介護をしている人も訪問美容のサービスが受けられます。
「毎日介護で、美容室に行く暇もない…」という方はぜひ、訪問美容の利用を検討してみてください。
訪問美容の実際の利用方法や利用条件、利用料金について詳しくは、以下の記事もご覧ください。
→ 【訪問美容】介護が必要な方向けの散髪サービス|利用料金、使い方
④施設の利用を検討する
介護保険サービスの見直しや訪問美容の利用など、できる限りのことはしてみたけれど、家での介護はもう限界だと感じられているなら、施設への入所を検討してみるのもひとつの選択肢です。
母親のわがままや日々の介護に疲れ切っていた方でも、母親を施設に預けることで心の余裕ができ、施設に訪問するときには笑顔で接することができるようになったというケースも多くあります。
介護される側も介護する側も無理をし過ぎず生活していくためには、介護サービスの利用が必要です。
介護の負担が重くなりすぎて、母親との関係が悪化したり介護者の心が限界を迎えてしまわないためにも、ケアマネージャーの人にも相談しながら、折に触れて介護サービスを見直していきましょう。
そして、その段階にあると判断できた場合には、施設の利用も検討してみてください。
施設の利用に当たって、場所の選定はケアマネージャーの人が手伝ってくれます。
また、要介護者からの拒否反応などにどう対応すればよいか、といったことについても、経験豊富なケアマネージャーやヘルパーさんなどが力になってくれるでしょう。
わがままを言う母親の介護との向き合い方
ここでは、介護をする側が注意しておきたいポイントについてお伝えします。
介護するとき注意しておきたいこと
介護をするとき、頭の片隅に置いておきたいことは以下の4つです。
①一生懸命になりすぎない
②要介護者と程よい距離感を保つ
③冷静な頭を持つ
④介護サービスを適切に使う
ただ、1つ目〜3つ目までについては「そうしたいと思っても難しいから悩んでいるんだ」と思われるかもしれません。
実際、親子という関係性の中で、冷静な頭で、程よい距離感を保ちながら、わがままを言う母親と関わり続けることは並大抵のことではありません。
なので、4つ目の「介護サービス」を利用しながら1つ目〜3つ目のポイントを実現できるようにしていきましょう。
介護というものは「介護体制が組み上がったから、今後はもうずっと大丈夫だ」というものではありません。
徐々に老化が進み「前に組み立てた介護体制では対応しきれないから介護体制を見直そう」という事態の連続です。
変化していく状況の中で、1つ目〜3つ目のポイントを意識し続けられるように、ケアマネージャーやヘルパー、社会福祉士、保健師と協力しながら母親の介護を続けていきましょう。
レスパイトケア(介護の休息)を意識する
介護業界では、レスパイトケア(介護の休息)が重要である、とよく言われます。
レスパイト(respite)とは「休息」「小休止」「息抜き」を意味し、レスパイトケアとは、介護を続けていくためには介護者自身が休憩を取る必要があるということを意味しています。
介護を続けていくためには、このレスパイトケアを意識しておくことが大切です。
先述の「②介護保険サービスを見直す」でもお伝えしたように、介護サービスを利用することで介護者自身が休息を取ることができます。
「介護を休んで休息を取ること」に抵抗がある方もいるかもしれません。
ですが休息は、今後も介護を続けていくためには必須なものです。
あなた自身の心身の負担が限界を超えてしまわないように、休息の時間を確保していきましょう。
補足: 介護をひとりで頑張りすぎて介護ストレスが限界を超えてしまうと、介護うつや要介護者への暴言、暴力といった取り返しのつかない自体に発展することもありえます。 レスパイトケアに特化したサービスとしては介護者の休息のために行われる「レスパイト入院」というものがあります。 |
母親のわがままによって溜まる、介護ストレスの対処法3つ
介護ストレスの軽減方法として「介護サービスを利用する」ということは既に紹介しました。
ここでは、それ以外に個人でできる介護ストレスへの対処法をご紹介します。
①不満や怒りなどを紙に書き出して捨てる
②一度その場を離れて深呼吸する
③気持ちの切り替え方法をできるだけたくさん持っておく
①不満や怒りなどを紙に書き出して捨てる
介護をしていると「私がこれだけしてあげてるのに感謝どころか文句を言われる」「介護をしていると自分の時間が少しも取れない」など、さまざまな不満や怒りを感じる場面があると思います。
そういった不満や怒りについて自分の頭の中だけで考えていると、その考えに囚われてしまい、むしろ増幅されてしまいかねません。
そんなときには、感じている不満や怒りを紙に書き出し、外部化してみましょう。
書き出すだけでもスッキリすることがありますし、書き出してグシャっと握り潰して捨てることで、自分の不満や怒りから少しだけ距離をおくことができます。
介護における不満や怒りは、なかなか外に吐き出すことが難しいものです。「紙に書き出す」という吐き出し方もあることを、ぜひ覚えておいてください。
②一度その場を離れて深呼吸する
介護中に母親のわがままを聞いて、カッとなってしまったとき、一度その場から離れ深呼吸をしてみるのもよい対処法です。
自分の気持ちやその場の雰囲気を変えるためには、時間を置くことが大切です。
母親には「少し気持ちを落ち着けるためにここを離れるね。5分したら戻るから」と、どこに行くか、いつ戻るかを伝えてから離れるとよりよいでしょう。
人の怒りの感情は、6秒以上経つとピークを過ぎるともいいます。
少しだけ距離を置いて深呼吸をし、改めてどう行動するか考えてみてください。
③気持ちの切り替え方法をできるだけたくさん持っておく
人は、なにか好きなものや好きなことに触れることで、気持ちをリフレッシュすることができます。
介護中にパッとできる気持ちの切り替え方法をできるだけたくさん持っておくと、介護中にストレスを感じたときにも活用することができるでしょう。
<介護中にできる気持ちの切り替え方法の例>
・好きな香りのハンドクリームや匂い袋を嗅ぐ
・好きな食べ物を食べる
・好きな飲み物を飲む
・ペットや我が子の写真を見る
・好きな芸能人やアイドルの写真を見る
・好きな言葉を読む
・好きな音楽を聞く
など
まとめ
ここまで「介護における母親のわがままの原因」「母親のわがままへの対処法4選」を紹介しました。
また合わせて「母親の介護との向き合い方」についてもお伝えしてきました。
レスパイトケア(介護の休息)という言葉が存在するほど、介護の世界では介護者自身の休息が大切とされています。
母親のわがままへのよりよい対処法を、ケアマネージャーなど介護の専門家と一緒に探しながら、あなた自身の休息も確保していきましょう。
最後まで暖かい介護を続けるためには、あなた自身の心身を健康に保つことがなにより大切です。
対処法の項で紹介した訪問美容について、当サイト「GOCHOKI」では、訪問美容に関心ある方に役立つ内容の記事を多数掲載しています。
訪問美容に興味がある方は、ぜひ参考にしてみてください。