介護疲れが取れないとお悩みの方へ|介護疲れの原因と対処法を解説
日々介護を続けていると、介護疲れが溜まってきます。
お世話になった親の介護であっても、介護は徐々に大きな身体的、精神的な負担となっていきます。
そんな介護疲れを適切に対処していくことで、介護を続けることが可能になります。
反対に、介護疲れを我慢し続けてしまうと、介護を続けられない状況に陥ってしまうことも少なくありません。
ここでは「介護疲れを引き起こす原因と対処法」を中心に、介護を続けていくために知っておきたい知識についてお伝えします。
また、あなたの介護疲れをチェックするためのチェックリストや、そもそも介護疲れとはなにか、といったことも合わせて解説しますので、ぜひ目を通してみてください。
Contents
介護疲れを引き起こす3つの原因
あなたが介護疲れを自覚したのは、どの段階でしょうか?
・体がだるくて、寝ても疲れが取れない
・日中も体の疲れを感じ、思うように活動できない
・ちょっとしたことで悲しくなったりイライラしたりしてしまう
・好きなことをするやる気もあまり出ない
もしあなたが、上記のような疲れを感じているのであれば、それは既に「早めの対処が必要な黄色信号」状態かもしれません。
また、「まだそこまでの疲れではないかな」という方も、介護疲れには早め早めに気づいて対処していくことが大切です。
ここでは、上記のような症状を引き起こす介護疲れの原因をお伝えします。
あなたがどの部分に特に負担を感じているか、確認しながら読んでみてください。
身体的疲れ
足を悪くしていたり、腕をうまく動かせない方の介護では、日々の生活動作全般をサポートしなければなりません。
代表的なものには、ベッドから起き上がる動作の補助、衣服の着脱やトイレ・入浴の介助などがあります。
これらの介護では、しゃがむ、中腰になる、相手の身体を支える・保持するなど、身体的負担の大きい動作をする必要があります。
特に介護者がひとりの場合、これらの身体的負担は、大きな介護疲れに繋がります。
また、身体的な疲れは睡眠不足によっても引き起こされます。
夜間の徘徊の見守りやトイレ介助のサポートなど、夜に起こされることにより十分な睡眠が取れない場合、溜まった介護疲れを解消することが難しくなり、介護疲れの原因になり得ます。
精神的疲れ
介護において、精神的な疲れは無視できない問題です。
介護者は介護する相手に対してだけでなく、介護・医療関係者、親族、近隣住民に気をつかいながら介護をする必要があるため、そのこと自体が精神的な介護疲れの原因となります。
特に、介護する相手に認知症の症状がある場合、こちらの気持ちや思いやりが通じず、つらい思いをすることも少なくありません。
また、介護をひとりで抱え込んでしまうと、介護に関する悩みや困りごとを相談できる相手がおらず、精神的疲れが解消できないこともあります。
上記のような場合、「精神的疲れへの対処法」で紹介する対処法を活用しながら、精神的な介護疲れを軽減していく必要があります。
経済的な負担
介護には経済的な問題が付きものです。
介護保険を適用することで費用負担が多少減るとはいえ、介護サービスが増えれば増えるほど出費は増えていきます。
また、サービスだけでなく、おむつや介護用品などの消耗品や備品の費用もかかります。
またもし、介護によって離職しなければいけない状況になれば、経済的な負担はより深刻なものになります。
これらの経済的な負担や、将来起こりうる負担についても、早め早めの対処が求められます。
「経済的な負担への対処法」で紹介する方法を、できるだけ早く検討しておきましょう。
介護の疲れが取れないときの対処法
介護疲れに対する対処法として、まず一番はじめにお伝えしたいのが「地域包括支援センターに相談する」ということです。
「地域包括支援センター」とは、社会福祉士やケアマネージャー、保健師が配置されている地域ケアの拠点で、介護に関する総合的な相談に乗ってくれます。
令和5年時点で、全国に5,431か所設置されており、あなたのお住まいの市町村の近くにもきっとあるはずです(ブランチ(支所)を含めると7,397か所)。
この章では、上記でお伝えした地域包括支援センターの具体的な支援内容や、その他の対策について、身体的・精神的・経済的の3つの視点から対処法をご紹介します。
身体的疲れへの対処法
身体的な介護疲れには、何よりもまず「介護者自身が介護から離れて休息する時間を取る」ことが大切です。
介護から離れて休息を取るために、地域包括支援センターのケアマネージャーに相談しながら、介護サービスの利用を検討してみましょう。
在宅介護の場合、例えば以下のような介護サービスが役に立ちます。
訪問介護(ホームヘルプ):
訪問介護員(ホームヘルパー)が食事・排泄・入浴などの介護(身体介護)や、掃除・洗濯・買い物・調理などの生活援助を行う。
通所介護:
送迎サービスを利用しながら、利用者が通所介護の施設(デイサービスセンターなど)に通う。通所介護の施設では、食事や入浴などの日常生活上の支援や、生活機能向上のための機能訓練、口腔機能向上サービスなどを日帰りで提供する。
短期入所生活介護(ショートステイ):
介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)などが、常に介護が必要な方の短期間入所を受け入れ、入浴や食事などの日常生活上の支援や機能訓練などを提供する。連続利用日数は最大30日まで。
これらの介護サービスを利用することで、介護者の休息や介護者自身の生活を取り戻すことに繋がります。
また、介護保険の適用されるものではありませんが、「訪問美容」というサービスも存在します。
訪問美容では、介護が必要になり自力での外出が難しくなった方のもとに、プロの美容師が訪問してカットやカラーを行ってくれるサービスです。
このサービスは、条件を満たせば介護者のカットも合わせてお願いすることができます。
訪問美容について詳しくはこちら「【訪問美容】介護が必要な方向けの散髪サービス|利用料金、使い方」をご覧ください。
休息を取らずに身体的疲れを取ることはできません。
今後も介護を続けていくために、自分ひとりで介護と向き合うのではなく、積極的にさまざまな介護サービスを利用していきましょう。
参考コラム:
在宅介護のために外出できない介護者の方へ|利用できるサービス5選
精神的疲れへの対処法
精神的疲れに対してはまず、「疲れの原因がどこにあるのかを分析する」ことが大切です。
いま自分が何に対して疲れを感じているのか、困りごとがあるのか、紙に書き出してみましょう。
その上で、書き出したものを「対処できるもの」と「対処できないもの」に分けて、対処できるものについてはひとつずつ対処していく順番を考えていきましょう。
精神的に疲れてくると、「問題が多くある」ということ自体にうんざりしてしまう、ということがよくあります。
それらの問題を紙に書いて言語化し「対処していけるものがある」ことが分かると、それだけでも少し気持ちが変わってくるのではないでしょうか。
また、上記のことに合わせて「自分自身の労わり方、慰め方をたくさん知っておく」ということも精神的疲れを軽減するための重要なポイントになります。
精神的な疲れを溜めすぎないために、以下のようなことを意識し、実践してみましょう。
・短くてもよいので、一日の中で自分のための時間を意識的に作る
・疲労回復、リラックスできる方法を、できるだけたくさん確保しておく
・完璧を求めすぎない
・自分に対して、厳しい言葉でなく優しい言葉をかけるよう意識する
・もやもやすること、悩むことがあれば、できるだけ早くケアマネージャーさんなどに相談する
献身的に介護をされている方ほど「自分よりも介護されている親を優先しなければ」と思い、自分の時間を取ることを後回しにしがちです。
しかし、あなた自身が健康でなければ、介護を続けていくことはできません。
一日の内に2分でも3分でも、外で深呼吸したり、自分の好きな香りを嗅いだり、家族よりも自分を優先する時間を確保してみてください。
経済的な負担への対処法
介護保険の適用を受けながら介護サービスを利用していても、
「経済的にいよいよ困窮してきた」
「このまま行くと、数年後にはお金がなくなってしまう」
と不安に思う方は少なくないでしょう。
そういった場合、補助金や助成金の活用を検討してみてください。
自治体によっては、介護や福祉用具などに対して、以下のような補助金、助成金の制度があります。
家族介護慰労金:
要介護4、5の要介護者を介護サービスを利用せず在宅介護している方に、年額10万円を支給。
参考:新宿区「家族介護慰労金」,大阪市「家族介護慰労金」
在宅介護に伴う住宅改修の補助:
最大20万円を基準に、住宅改修にかかった費用の9割を補助。改修に20万円かかった場合には、18万円が支給される。
参考:厚生労働省「介護保険における住宅改修」
福祉用具の貸与:
福祉用具の貸与に係る費用について、1〜3割負担での利用が可能。
参考:厚生労働省「福祉用具貸与」
福祉用具の購入:
利用者がいったん全額を支払った後、費用の7〜9割が払い戻される。同一年度に10万円まで購入可能。
参考:厚生労働省「特定福祉用具販売」
介護疲れのチェックリスト|疲れが取れない…と感じたら
「自分の介護疲れが、今どの程度のレベルにあるのかわからない」という方もいると思います。
ここでは、介護疲れの度合いを考えるためのチェックリストを用意しました。
以下の項目のどれかひとつにでも当てはまる場合、介護疲れがある状態、もしくは介護疲れを引き起こす可能性が高い状態と考えられます。
もしチェックがつくようであれば、「介護の疲れが取れないときの対処法」でお伝えした地域包括支援センターに相談することをオススメします。
<介護疲れのチェックリスト>
・介護は完璧にこなさないといけない
・介護を自分ひとりで行っている
・介護に他人をあまり入れたくない
・介護について、相談できる人がいない
・介護の悩みについて、どこに相談すればいいかわからない
・介護は我流でやっている
・介護が今後いつまで続くかわからず、不安がある
・被介護者以外の家族に対して時間を作ることができていない
・介護に時間を取られ、自分のための外出ができない
・生活の大部分を介護が占めており、自分の趣味の時間や友人と話す時間が取れていない
・ちょっとしたことで、すごく悲しくなる、イライラする
・自分が好きなことや趣味が、あまり楽しめなくなった
介護は、身体的にも精神的にも負担の大きい重労働です。
うまく休息を取りながら続けていく必要があります。
介護業界では、介護者が休息を取れるようにサポートすることを「レスパイトケア」ともいいます。
介護者自身の心身の健康を保つために、ぜひレスパイトを大事にしながら、介護と向き合ってみてください。
そのためにも、地域包括支援センターのケアマネージャーのような専門職に適切に頼りながら取り組んでいきましょう。
参考コラム:
在宅介護のために外出できない介護者の方へ|利用できるサービス5選
あらためて、介護疲れとは
「これまでお世話になったから」「育ててくれた実の親だから」と介護を頑張る方は多くいらっしゃいます。
ですが、親だからこそ「こちらの気持ちをわかってくれるだろう」「感謝してくれるだろう」という期待が生じ、介護の負担を感じやすいというケースも少なくありません。
介護というものは多くの場合「突然」「素人の状態で」始まります。
しかも、やることが日常生活のサポートのため、日々やらなければならないことをこなすだけで一日一日が終わってしまいます。
そのまま「親の生活のため」と自分の介護疲れを二の次に頑張り続けてしまうと、介護疲れが限界を迎えてしまいます。
限界を迎えると、介護疲れが介護うつや被介護者の虐待に繋がる可能性もあります。
そうならないためにも、「介護の疲れが取れないときの対処法」で示した対処法を適切に取っていきましょう。
どういった介護サービスが使えるのか、自分の介護疲れの状態がどの程度なのかの見極めについては、地域包括支援センターの専門職の方々が大きな力になってくれるはずです。
参考:東京都福祉局「地域包括支援センター及び在宅介護支援センター一覧」,大阪市「「地域包括支援センター」(高齢者相談窓口)」
まとめ
ここまで「介護疲れの原因と対処法」「介護疲れのチェックリスト」「そもそも介護疲れとは?」といったテーマで、介護疲れに関する情報をお伝えしました。
介護をひとり、または家族だけで抱え込んでしまうと、この介護疲れの状態に陥ることが少なくありません。
ぜひ、地域包括支援センターなどの専門家に力を借りながら、あなた自身の心身も大切に介護を続けていきましょう。
介護負担を軽減するサービスのひとつとして紹介した訪問美容について、当サイト「GOCHOKI」では、訪問美容に関心ある方に役立つ内容の記事を多数掲載しています。
訪問美容に興味がある方は、ぜひ参考にしてみてください。