入浴できない親の介護!入浴以外で身体を清潔に保つ方法4つを紹介
「認知症の症状が進んで、親が入浴してくれない」
「入浴を促しても、お風呂に入ることができない」
「入浴介助をしようと思っても、体力的にきつい」
親の介護をする中で、上記のような悩みを持っている人は少なくないのではないでしょうか。
介護が必要になった最初の頃はきちんと入浴してくれていたけれど、「だんだんと入浴回数が減ってきた」、「お風呂に入らなくなってきた」という問題は、介護あるあるのひとつとも言えるでしょう。
そこでここでは、入浴を嫌がったり、入浴介助が大変な親のために「入浴以外で身体の清潔を保つ方法4つ」と「入浴介助を行ってくれる外部サービス5つ」をお伝えします。
Contents
入浴できない親の介護|入浴以外の方法4つ
まず、入浴できない親の身体の清潔を保つ、入浴以外の方法を4つお伝えします。
方法① 身体を清潔に保つ、清拭(せいしき)
方法② 手だけをお湯につける、手浴
方法③ 足をお湯につける、足浴
方法④ 入浴なしで髪をきれいにする、洗髪
方法①身体を清潔に保つ、清拭(せいしき)
まずは、身体を拭き取り清潔を保つために行う「清拭(せいしき)」についてお伝えします。
以下、清拭を始める前の確認事項、準備するもの、清拭のやり方についてお伝えします。
<清拭を始める前の確認事項>
・体調に問題はないか
・カーテンなどを使ってプライバシーが保護できているか
・身体が冷えないよう、室温を調整できているか
・排泄は済ませたか
・食事の前後1時間ではないか(空腹、満腹時は体調の変化が起こりやすい)
<準備するもの>
・タオル
・洗面器
・お湯
・清拭料(ドライシャンプー)
・バスタオル
<清拭のやり方>
1.タオルの準備
全身をしっかり拭くときには、洗面器のお湯に「液体タイプの清拭料」を入れ、タオルを浸して絞ります。
気になる部分だけを拭く場合には、蒸しタオルに「泡タイプの清拭料」をのせる方法でもOKです。
どちらも、タオルが熱くなりすぎないように注意しましょう。
2.顔・頭部の拭き取り
顔の中心から外側に向かって、やさしく拭いていきます。
髪の生え際や、首、耳の後ろなど、汚れがたまりやすいところは特に気をつけて拭いていきましょう。
3.身体の前面の拭き取り
次に身体の前面を拭いていきます。
血行をよくするため、身体の中心に向かって拭いていきましょう。
指の間、肘の内側、わきの下なども拭いていきます。
女性の場合、乳房の下などにも汚れがたまりやすいので、丁寧に拭いていきましょう。
4.身体の背中側の拭き取り
次に背中側を拭いていきます。
背中の清拭は、身体を横向きにし、ひざを軽く曲げて身体を安定させてから行います。
足の指の間や足裏も汚れがたまりやすい場所なので、忘れず拭いていきましょう。
5.仕上げ
最後は、乾いたタオルで軽く押し当てるようにして水分を拭き取っていきます。
その後、大きめのタオルを温めて背中に当てることで、お湯につかっているようなリラックス効果が得られます。
乾燥肌な方であれば、最後に保湿も行いましょう。
ポイント
ここでは、全身の清拭について解説しました。
ですが、一度に全ての清拭を行うのは、介助者にとっても介助される側にとっても負担となります。
清拭が負担となりすぎないよう「日ごとに拭く場所を変え、4〜7日かけて全身を拭いていく」など、無理なく続けていくことが大切です。
方法②手だけをお湯につける、手浴
手や手首をお湯につけるだけでも、血行やリンパの流れがよくなり、リラックス効果を得ることができます。
また、冷え性や目の疲れ、不眠などにも効果があると言われています。
<手浴のやり方>
1.38℃〜43℃くらいの、ぬるめから少し熱く感じるくらいのお湯を用意します。
2.手のひら、指、手首と、お湯の中に手を徐々に入れていきます。
3.手が温まってきたら、手全体を軽くマッサージしたり、指の曲げ伸ばしをしてみましょう。
リラックス効果が得られるとともに、手指の運動にもなります。
4.手を洗う場合には、石鹸などを使って指、指の間、手のひらをやさしく洗いましょう。
その後、お湯を取り替えて、石鹸を落としていきましょう。
5.タオルを手にやさしく押し当てて、水分を取りましょう。
6.最後に保湿クリームなどをつけると、皮膚の保護になります。
方法③足をお湯につける、足浴
太もも、足をお湯につける足浴でも、手浴と同様、血行促進効果、リラックス効果があります。
手よりも足の方が温められる範囲が広いので、より効果的であると言えるでしょう。
そして足浴には、歩くことで汚れがちな足を清潔にする効果もあります。
<足浴のやり方>
1.38℃〜43℃くらいの、ぬるめから少し熱く感じるお湯を用意します。
2.洗面器かバケツにお湯を入れ、足の裏、指、足の甲、足首、太ももと順にお湯につけていきます。
3.足が温まったら、軽くマッサージをすると、血行促進効果、リラックス効果が向上します。
4.洗う場合、石鹸を使って洗っていきましょう。足の指や足裏も忘れずに洗うことが大切です。
5.洗った後、お湯を取り替えて足をすすぎましょう。
6.タオルを足にやさしく押し当てて、水分を取りましょう。
7.最後に保湿クリームなどをつけると、皮膚の保護になります。
方法④入浴なしで髪をきれいにする、洗髪
入浴なしで髪を洗うアイテムとして、ドライシャンプーが販売されています。
ドライシャンプーは、ドラッグストアなどで手にいれることができます。
<入浴なしの洗髪のやり方>
1.ドライシャンプーをまんべんなく髪につける。
髪が長い場合、蒸しタオルを頭に巻いて数分置くと、髪の毛や頭皮の汚れが浮いてくるので、より清潔にすることができます。
2.頭皮全体をマッサージするようにして、髪になじませる。
3.乾いたタオルでドライシャンプーを拭き取る。
ドライシャンプーによってある程度清潔を保つことができますが、お湯を使った洗髪の代わりになるものではありません。
数日に1度は、お湯を使った洗髪を行うようにしましょう。
参考記事:ドライシャンプーを介護・看護に取り入れる方法は?必要な道具、やり方
洗髪してくれる外部サービスとして、プロの美容師が自宅や施設まで訪問してくれる「訪問美容」というものがあります。
訪問美容については後ほど詳しく解説いたします。
入浴介助を行ってくれる外部サービスの例5つ
日々介護を行っているとだんだんと気持ちや体力の余裕がなくなってしまうものです。
そんなとき相談に乗ってくれるのが地域包括支援センターです。
さまざまな介護の悩みを聞いてくれ、具体的な対処方法も一緒に考えてくれます。
ここでは、地域包括支援センターでも案内してもらえる外部サービス(介護サービス)の一例をご紹介します。
①訪問入浴
②訪問介護(ホームヘルプ)
③訪問看護
④通所介護(デイサービス)
⑤短期入所生活介護(ショートステイ)
⑥訪問美容
参考:
地域包括支援センターの一覧(厚生労働省「2.地域包括支援センターについて」)
介護サービスの一覧(厚生労働省「公表されている介護サービスについて」)
①訪問入浴
看護職員、介護職員が自宅を訪問し、持参した浴槽で入浴介助を行ってくれます。
利用料金は以下のようになっています。
・要支援1・2 852円
・要介護1〜5 1,260円
②訪問介護(ホームヘルプ)
訪問介護員(ホームヘルパー)が食事・排泄・入浴などの介護(身体介護)や、掃除・洗濯・買い物・調理などの生活援助を行います。利用料金は以下のようになります。
要介護1〜5
<身体介護>
・20分未満 167円
・20分以上30分未満 250円
・30分以上1時間未満 396円
・1時間以上1時間半未満 579円
<生活援助>
・20分以上45分未満 183円
・45分以上 225円
③訪問看護
看護師が、疾患のある利用者の自宅を訪問して、療養上のお世話や診療補助を行います。
症状に応じて、血圧・脈拍・体温測定や病状チェック、排泄や入浴の介助などを行ってくれます。
<訪問看護ステーションから>
・20分未満 313円
・30分未満 470円
・30分以上1時間未満 821円
・1時間以上1時間30分未満 1,125円
・理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士による訪問の場合(20分以上) 293円
<病院または診療所から>
・20分未満 265円
・30分未満 398円
・30分以上1時間未満 573円
・1時間以上1時間30分未満 842円
④通所介護(デイサービス)
自宅までの送迎サービスを利用しながら、通所介護の施設(デイサービスセンターなど)に通うことができます。
通所介護の施設では、食事や入浴などの日常生活上の支援や、生活機能向上のための機能訓練、口腔機能向上サービスなどを日帰りで提供しています。
要介護1〜5
<通常規模*の事業所の場合(7時間以上8時間未満)>
・要介護1 655円
・要介護2 773円
・要介護3 896円
・要介護4 1,018円
・要介護5 1,142円
※通常規模とは1ヵ月の平均利用延べ人数301人以上750人以内を指します。
⑤短期入所生活介護(ショートステイ)
常に介護が必要な方が介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)などに短期入所して、入浴や食事などの日常生活上の支援や機能訓練などを受けることができる介護サービスです。
連続で最大30日まで利用できます。
要支援1・2
<併設型・多床室の場合>
・要支援1 446円
・要支援2 555円
※利用料は1日につきかかる費用です。
要介護1〜5
<併設型・多床室の場合>
・要介護1 596円
・要介護2 665円
・要介護3 737円
・要介護4 806円
・要介護5 874円
※利用料は1日につきかかる費用です。
⑥訪問美容
介護保険が適用されるサービスではありませんが、「訪問美容」という外部サービスも存在します。
訪問美容では、介護が必要になり自力での外出が難しくなった方のもとに、プロの美容師が訪問してカットやカラーを行ってくれます。
また、介護専門の訪問美容、ヘアサロンの訪問美容の多くが、洗髪にも対応しています。
また訪問美容は介護が必要となる本人だけでなく、介助者も対象としています。
親の洗髪、カットと合わせて自分もヘアカットしてもらいたいのであれば、依頼する際に相談してみましょう。
「訪問美容」について詳しくはこちら「【訪問美容】介護が必要な方向けの散髪サービス|利用料金、使い方」をご覧ください。
まとめ
ここまで、親が入浴できない、という悩みを抱えている方に向けて「入浴以外で身体の清潔を保つ方法4つ」と「入浴介助を行ってくれる外部サービス5つ」をお伝えしました。
介護の中でも、入浴介助は負担の大きいもののひとつです。
あなた自身ができるだけ無理なく介護を続けていくためにも、積極的に入浴以外の方法や外部サービスを利用していきましょう。
また、本文中で紹介した訪問美容について、当サイト「GOCHOKI」では、訪問美容に関心ある方に役立つ内容の記事を多数掲載しています。
訪問美容に興味がある方は、ぜひ参考にしてみてください。