自宅での介護で利用できる介護サービスの種類3つ!在宅介護のメリットと利用の流れ
親の介護を行うにあたって、自宅で介護をするべきか、施設を利用するべきか、悩んでいる方は多くいらっしゃいます。
一般に、自宅での介護は金銭的負担が軽くなる代わりに、介護者である家族の負担が大きくなる傾向にあります。
一方で、施設介護は金銭的な負担が大きい代わりに、家族の負担は軽くなり、介護離職などには繋がりにくいでしょう。
ここでは、自宅で介護を行う場合に必要な準備やおおまかな費用感、利用できる介護サービスについて詳しくお伝えします。
また、介護サービスを利用するまでの流れや、自宅介護を始める前に話し合っておきたいことなどについてもお伝えしますので、ぜひ参考にしてみてください。
Contents
自宅での介護に必要な準備、費用
自宅での介護を考えた場合、以下のことを念頭に進めていく必要があります。
・市区町村か地域包括支援センター*1に、介護保険の申請をして要介護認定を受ける
・最寄りの地域包括支援センター*1で、ケアマネージャーに介護サービスの利用を相談する
・自宅介護の初期費用の平均は74万円。ただし、15万円未満で済んでいる世帯も34%ある。*2
・自宅介護の月額費用は平均4.8万円。*2
*1参考:厚生労働省「全国の地域包括支援センターの一覧(都道府県のホームページへリンク)」
*2参考:公益財団法人生命保険文化センター「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査」173、174ページ
より具体的な介護の準備については、後述する「自宅での介護で介護サービスを利用するときの具体的な流れ」をご覧ください。
また、金銭的な問題については家族での話し合いが必要になってくるでしょう。
介護が始まってから意見が割れてしまうことを避けるために、後述する「自宅介護を始める前に話し合っておきたいこと」を参考にしてみてください。
自宅での介護で利用できる介護サービスの種類3つ
介護サービスは、大きく分けて以下のような種類があります。
・自宅に訪問してくれるもの
・施設に通所するもの
・短期間、宿泊させてくれるもの
・施設で生活させてくれるもの
ここでは、自宅での介護で利用しやすい「自宅に訪問してくれるもの」「施設に通所するもの」について主に紹介します。
補足:
あなたのお住まいの地域での介護サービス利用については、最寄りの地域包括支援センター*のケアマネージャーが最も詳しいでしょう。
要支援度、要介護度によっても、利用できるサービスが変わってくるので、わからないことがあったらケアマネージャーさんに相談してみましょう。
*参考:厚生労働省「全国の地域包括支援センターの一覧(都道府県のホームページへリンク)」
①自宅に訪問してくれるもの
自宅に訪問してくれる介護サービスは以下のようなものがあり、訪問介護員(ホームヘルパー)や看護師が担当してくれます。
・訪問介護(ホームヘルプ)
・訪問入浴
・訪問看護
・訪問リハビリ
・夜間対応型訪問介護
・定期巡回・臨時対応型訪問介護看護
参考:厚生労働省「介護事業所・生活関連情報検索 介護サービス情報公表システム」
訪問◯◯と名前のつくものは、その名の通り自宅まで訪問して介護を行ってくれます。
そのサービス内容は主に、食事、排泄、入浴などの身体介護、掃除、洗濯、買い物、調理などの生活援助です。
訪問看護では、その人の疾患に合わせた対応を訪問看護師が行ってくれます。
②施設に通所するもの
施設に通所するものには以下のような介護サービスがあります。
・通所介護(デイサービス)
・通所リハビリ
・地域密着型通所介護
・療養通所介護
・認知症対応型通所介護
通所介護は主に日中の間、介護の必要な方を受け入れてもらうサービスになります。
自宅での介護をしていると介護者はどうしても付きっきりになり、なかなか気が休まるときがありません。
通所介護を利用することで、ひととき1人の時間を持つことができます。
参考:厚生労働省「介護事業所・生活関連情報検索 介護サービス情報公表システム」
③散髪や食事のために利用できる介護保険外のサービス
上記で示した訪問看護・介護や通所介護を利用することに加え、訪問美容、宅配食のような介護保険外のサービスを利用することもできます。
・訪問美容
「親の洗髪やヘアカットをプロに頼みたい」という方は、訪問美容というサービスが利用できます。
訪問美容とは、認知症や歩行困難などで美容室に足を運ぶことが難しい方のところに、プロの美容師が訪問して散髪を行うサービスです。
訪問美容では、主に以下のようなサービスを受けることができます。
<訪問美容メニュー>
カット
ブロー
シャンプー
お顔のお手入れ
パーマ
白髪染め、カラー
トリートメント
・宅配食
毎日のことだからこそ負担になりやすい朝昼晩の食事ですが、nosh(ナッシュ)などの宅配食を利用することでその負担を軽減することができます。
宅配食の進化はめざましく、栄養バランスや味の質がどんどん向上しています。
以下にご紹介する「nosh(ナッシュ)」の宅配食は、調理師免許を持つプロが栄養のバランスや糖質、塩分の量を考えて調理しています。
宅配食を利用することで、毎日に少しの余裕を持つことができます。
健康的な食生活を守りながら介護負担を減らすために、宅配食の利用を考えてみるのもよいでしょう。
→ ヘルシー・糖質に配慮した冷凍宅配弁当「noshナッシュ」について詳しくはこちら
自宅介護のメリット・デメリット
自宅での介護のメリットには以下のようなものが挙げられます。
・住み慣れた環境で生活できる
・介護費用を抑えられる
・介護が必要な親の希望を叶えてあげやすい
住み慣れたお家で、食事や生活用具のこだわりを保ちながら生活できることは大きなメリットです。
また、介護費用が抑えられることも大きなメリットです。
施設を利用する場合、月額の介護費用の平均は12.2万円で、自宅で介護するよりも月額7.4万円多く費用がかかるというデータもあります。
参考:公益財団法人生命保険文化センター「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査」174ページ
自宅介護のデメリットについては、介護者の負担が大きくなることが挙げられるでしょう。
要介護度にもよりますが、認知症などの症状が重い場合、誰かが付きっきりで介護をしなければならなくなります。
場合によっては介護離職などに繋がる可能性もあります。
自宅での介護で介護サービスを利用するときの具体的な流れ
介護サービスを利用する場合、以下のような手続きが必要です。
①親の居住地の高齢者福祉窓口、もしくは地域包括支援センター*に行き、要介護認定の申請をする。
②市区町村の職員やケアマネージャーが、本人の状態確認のため、聞き取り調査などを行う。
③かかりつけ医が主治医意見書を作成する。
④聞き取り調査と主治医の意見書から、一次判定を行う。次に医療・福祉・保健の専門家が二次判定を行う。
⑤「要支援1、2」「要介護1〜5」「非該当(自立)」の判定が出る。結果は原則、申請から30日以内に送付。
⑥「要支援」「要介護」となれば、ケアマネージャーと相談しながらケアプラン(介護サービスの利用計画書)を作成する。このとき「自宅での介護で利用できる介護サービスの種類3つ」で挙げたようなサービスを組み込んでいく。
⑦ケアプランに基づいて、介護サービスを利用する。
⑧認知症の進行など、要介護者の状況に変化があれば、その都度ケアマネージャーと相談しケアプランを調整していく。
*参考:厚生労働省「全国の地域包括支援センターの一覧(都道府県のホームページへリンク)」
自宅介護を始める前に話し合っておきたいこと
自宅で介護を行う場合、いくつか事前に考えておきたいことがあります。
特に、これから介護される親、介護に関わる家族や兄弟姉妹、親族とは、以下のことについて時間を作って話し合うことをオススメします。
・親の希望を聞いておく
認知症などが進行すると、意思疎通が難しくなることも少なくありません。
これから介護される親の希望を、できる限り聞いておきましょう。
・同居介護、近距離介護、遠距離介護、どれにするか
自宅での介護といっても、同居介護だけではありません。
「親の家の近くに住み、通いで介護する近距離介護」「遠方に住み、週や月に1回親の元を訪ねる遠距離介護」もあります。
・介護の協力者を見つけておく
家族、兄弟姉妹、親族など介護の協力者をできるだけたくさん見つけておきましょう。
事前に介護の役割分担も決めておけるとベストです。
また、かかりつけ医や看護師、ケアマネージャーやホームヘルパーなど、介護の専門家の人たちの中に信頼できる人を見つけておくことも大切です。
・自宅環境を整える
大きな段差や滑りやすい床など危険度の高い場所は、手すりを設置するなどの対策をしておけると安心です。
・介護保険制度について勉強する
介護サービスは、介護保険制度のおかげで原則、費用の1割の自己負担で利用できます。
また、条件を満たせば、介護のための住宅改修に補助金も出ます。
介護者の経済的負担軽減のために介護保険制度を知っておくことは大切です。
・資金の準備をする
この記事の冒頭でも述べた通り、自宅介護には初期費用や月額費用がかかってきます。
介護用品や福祉用具のレンタル、介護サービスの利用料などに充てるため、事前に資金の準備に取り掛かっておきましょう。
・看取り
在宅で看取りをするか、施設で看取りをするかについても話し合っておくことが大切です。
自宅での看取りを行う場合、在宅医療や看取りについてケアマネージャー、居宅介護支援事業所に事前に相談する必要があります。
また、施設で看取りを行う場合にも、自宅介護から施設介護に切り替えるタイミングなどをケアマネージャーと事前に話し合っておきましょう。
介護ストレスに悩んだときの対処法3つ
介護ストレスに押しつぶされそうになったときまず考えたいのは、介護サービスの利用を増やすことです。
介護者に負担がかかりすぎる状況は、介護を続けていく上で早急に改善しないといけない問題です。
なので、まずはケアマネージャーに状況を相談し、介護サービスの利用を増やせないか確認してみましょう。
その上で、ここでは個人でできる介護ストレスへの対処法を3つご紹介します。
①不満や怒りなどを紙に書き出して捨てる
介護をしていると「私がこれだけしてあげているのに感謝どころか文句を言われる」「介護をしていると自分の時間が少しも取れない」など、さまざまな不満や怒りを感じる場面があると思います。
そういった不満や怒りについて自分の頭の中だけで考えていると、その考えに囚われてしまい、むしろ増幅されてしまいかねません。
そんなときには、感じている不満や怒りを紙に書き出し、外部化してみましょう。
書き出すだけでもスッキリすることがありますし、書き出してグシャっと握り潰して捨てることで、自分の不満や怒りから少しだけ距離をおくことができます。
介護における不満や怒りは、なかなか外に吐き出すことが難しいものです。
「紙に書き出す」という吐き出し方もあることを、ぜひ覚えておいてください。
②一度その場を離れて深呼吸する
介護中に親のわがままを聞いて、カッとなってしまったとき、一度その場から離れ深呼吸をしてみるのもよい対処法です。
自分の気持ちやその場の雰囲気を変えるためには、時間を置くことが大切です。
親には「少し気持ちを落ち着けるためにここを離れるね。5分したら戻るから」と、どこに行くか、いつ戻るかを伝えてから離れるとよりよいでしょう。
人の怒りの感情は、6秒以上経つとピークを過ぎるともいいます。
少しだけ距離を置いて深呼吸をし、改めてどう行動するか考えてみてください。
③気持ちの切り替え方法をできるだけたくさん持っておく
人は、なにか好きなものや好きなことに触れることで、気持ちをリフレッシュすることができます。
介護中にパッとできる気持ちの切り替え方法をできるだけたくさん持っておくと、介護中にストレスを感じたときに活用することができるでしょう。
<介護中にできる気持ちの切り替え方法の例>
・好きな香りのハンドクリームや匂い袋を嗅ぐ
・好きな食べ物を食べる
・好きな飲み物を飲む
・ペットや我が子の写真を見る
・好きな芸能人やアイドルの写真を見る
・好きな言葉を読む
・好きな音楽を聞く
など
まとめ
ここまで、自宅で介護を行う場合に必要な準備やおおまかな費用感、利用できる介護サービスについて詳しくお伝えしました。
また、介護サービスを利用するまでの流れや、自宅介護を始める前に話し合っておきたいことなどについても合わせて紹介しました。
自宅での介護は多くのメリットがある一方、介護者の負担が大きいという注意点もあります。
介護者が介護ストレスを抱えすぎず、持続可能な介護を続けていくために、ここでお伝えした情報がお役に立てば幸いです。
当サイト「GOCHOKI」では、訪問美容について知りたい方に役立つ内容の記事を多数掲載しています。
ぜひ参考にしてください。