育児と介護の両立(ダブルケア)への対処法3つ – まずは介護の専門家に相談を
「病気や加齢で急遽、親の介護が始まった」
「育児と介護を両方行うことに難しさを感じている」
「仕事との両立にも悩んでいる」
という方は少なくないのではないでしょうか。
介護・育児・仕事、どれかひとつだけでも大変なのに、それらが組み合わさると時間や気持ちの余裕がなくなってしまいますよね。
ここでは、介護と育児を両立していくための対処法・留意点をそれぞれ3つ紹介します。
Contents
介護と育児の両立、ダブルケアの実態
介護と育児の両方を行うことを「ダブルケア」と言います。
平成28年の内閣府調査によると、日本全体でダブルケアを行っている人は約25万人いると推定されており、その平均年齢は男女ともに40歳前後となっています。
少子高齢化の進む現在、この数字はさらに大きくなっていることが予測されます。
ダブルケアによって引き起こされる問題は、忙しさや経済的困窮、失職だけではありません。
仕事・育児・介護を必死に行う中で気持ちの余裕がなくなっていき、心の不調の引き金となることもありえます。
少しでも体力気力に余裕を持ってダブルケアに取り組むためには、介護と育児を両立するための対処法を備えておくことが大切です。
参考:内閣府男女共同参画局「育児と介護のダブルケアの実態に関する調査」
介護と育児を両立していく対処法3つ
ダブルケアへの対処として最も重要なのは「いかに負担を軽くするか」という視点です。
ここでは、介護の負担を軽くすることに焦点を絞って、以下3点の対処法をお伝えします。
①支援機関・支援制度を活用する
・地域包括支援センター
・介護保険サービス
・介護保険外のサービス
・介護休業制度
②仕事との両立を考える
③協力体制を作る
①支援機関・支援制度を活用する
介護においては特に、介護施設や介護保険サービスなどをうまく活用することが大切になります。
ここでは、介護保険サービスへの繋がり方や、介護保険サービス・介護支援制度の内容などを紹介します。
<地域包括支援センター>
介護が必要になったとき、まず一番に繋がっておきたいのが「地域包括支援センター」です。
「地域包括支援センター」とは、ケアマネージャーや社会福祉士、保健師が配置されている地域ケアの拠点で、介護に関する総合的な相談に乗ってくれます。
ケアマネージャーは、その地域の介護サービスに関する専門家なので「今のあなたの親がどういった介護保険サービスや支援制度、介護施設を利用できるか」「今後、どのように介護を進めていくのがよいのか」といった具体的な相談に乗ってくれます。
そして、今後の介護計画をケアプランにまとめて、介護の伴走者となってくれます。
※ケアプランとは
利用者(介護が必要な人)の状態や要望、家族との相談を踏まえて作成される介護保険サービス利用の計画書
地域包括支援センターは、令和5年時点で全国に5,431か所設置されており、あなたのお住まいの市町村の近くにもきっとあるはずです(ブランチ(支所)を含めると7,397か所)。
ぜひ電話や訪問をして、繋がってみてください。
参考:厚生労働省「地域包括ケアシステム > 2.地域包括支援センターについて」
<介護保険サービス>
在宅でダブルケアをされている場合、自宅に訪問してくれる介護サービスは以下のようなものがあり、訪問介護員(ホームヘルパー)や看護師が担当してくれます。
・訪問介護(ホームヘルプ)
・訪問入浴
・訪問看護
・訪問リハビリ
・夜間対応型訪問介護
・定期巡回・臨時対応型訪問介護看護
参考:厚生労働省「介護事業所・生活関連情報検索 介護サービス情報公表システム」
訪問◯◯と名前のつくものは、その名の通り自宅まで訪問して介護を行ってくれます。
そのサービス内容は主に、食事、排泄、入浴などの身体介護、掃除、洗濯、買い物、調理などの生活援助です。
訪問看護では、その人の疾患に合わせた対応を訪問看護師が行ってくれます。
また、それぞれの介護について、施設を利用した通所介護ももちろん提供されています。
通所介護について詳しく知りたい方は「介護事業所・生活関連情報検索 介護サービス情報公表システム」の「施設に通う」をご確認ください。
<介護保険外のサービス>
上記で示した訪問看護・介護や通所介護を利用することに加え、訪問美容のような介護保険外のサービスを利用することもできます。
訪問美容とは、認知症や歩行困難などで美容室に足を運ぶことが難しい方のところに、プロの美容師が訪問して散髪を行うサービスです。
訪問美容では、主に以下のようなサービスを受けることができます。
<訪問美容メニュー>
カット
ブロー
シャンプー
お顔のお手入れ
パーマ
白髪染め、カラー
トリートメント
→ 「大阪の訪問美容・出張美容・福祉美容サービスGO!CHOKI」
<介護休業制度>
要介護状態にある家族を介護する際、介護休業制度を利用して仕事のお休みを取ることができます。
「同じ事業主に1年以上雇用されていること」などの縛りはありますが、対象の家族1人につき3回、通算93日までの期間、休暇を取得することができます。
介護休業の申請先は事業主となります。事業主は申請を受けた後、介護休業開始日・終了予定日を厚生労働省に通知する必要があるので、早めに相談し、調整をしておくとよいでしょう。
また、介護休業では要件を満たせば「日額賃金×67%」の給付金を受けられます。要件は、以下の3つです。
①休業開始日より前2年間の間、12ヶ月以上雇用保険に加入している被保険者である
②家族の常時介護が2週間以上必要である
③職場復帰を前提として介護休業を利用する
給付金の申請は介護休業の終了日から2ヶ月以内に、会社を通してハローワークで行う必要があります。
会社が申請を行ってくれるケースもあるので、この点も事前に相談しておきましょう。
7割弱とはいえ給与をもらいながらお休みを取得することができれば、
「時間のかかる用事を済ませる」
「介護や育児についての計画を立てる」
「家族や親族との協力体制を築いていくための時間に充てる」
といったことができるでしょう。
参考:厚生労働省「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律 及び 次世代育成支援対策推進法の一部を改正する法律の概要(令和6年法律第42号、令和6年5月31日公布」
②仕事との両立を考える
ダブルケアにおいて、仕事との両立は非常に大きな課題です。
介護と育児で日常生活の時間が減っていく中で、以前と変わらず仕事を続けることは簡単なことではありません。
しかし、「介護も育児も経済的負担が生じるので、仕事を辞めるわけにはいかない」という方が多いでしょう。
介護と仕事を両立するためには、先ほどもお伝えした「介護保険サービスを活用すること」「介護休業制度などを利用すること」に加えて「ひとりで抱え込まないこと」が非常に大切になります。
家族や親族、職場に介護をしていることを伝えて理解を得ておくことで、協力を求めたり、制度を利用することがしやすくなります。
会社によっては時短勤務の希望なども通りやすくなるでしょう。
③協力体制を作る
負担がひとりに集中しないよう、介護をできるだけ分担するためには「情報の共有」が重要です。
介護に協力してくれる家族や親族間で「どういった介護が行われているか」「何に、どのくらいの時間やお金がかかっているか」を把握できるよう、日頃からコミュニケーションを取っておきましょう。
介護において何が大変で、どのくらいお金がかかっているのかを知ることで、「この部分は協力できる」「この部分は協力できないから、その分お金を出す」などの相談がしやすくなるでしょう。
また、コミュニケーション不足は、ときに争いを生じさせます。
介護や育児で余裕がない中でさらに精神的負担が生じてしまうことを避けるためにも、日頃からできるだけコミュニケーションを取っておきましょう。
関連記事:兄弟姉妹で親の介護を分担する方法は?トラブルを回避するための対策3選
介護と育児の両立のために気をつけておきたいこと3つ
ダブルケアが始まると、子どもたちにも家事や介護の手伝いをお願いしなければならないことがあるでしょう。
ただ、子どもにはできるだけ負担をかけたくないですよね。
子どもへの負担を減らす、子どもの気持ちを聞く場を持つために、以下の3つのポイントには気をつけておきましょう。
①ダブルケア状態になったら、早めに情報収集する
介護と育児の両立であるダブルケアは、ある日急に始まる場合がほとんどです。
そのような場合、さまざまな準備ができていないので家族みんなに余裕がなくなり、子どもにそのしわ寄せがいってしまうことが少なくありません。
介護やダブルケアがどういったものか、どういった準備が必要か、どういった支援があるのか、情報収集をしておきましょう。
そうすることで、ダブルケアの状態になったとき、比較的落ち着いて対処していくことができるでしょう。
関連記事:介護しながら働くことはできる?仕事を続けるための支援・サービスを紹介
関連記事:介護疲れが取れないとお悩みの方へ|介護疲れの原因と対処法を解説
②ひとりで抱え込まず、他者に頼る
介護・育児・仕事をこなしていくに当たって大きな問題となるのが「気持ちの余裕がなくなること」です。
普段子どもと接するときも、気持ちの余裕がないとイライラしてしまったり、そっけなくなってしまうことがあるでしょう。
「③協力体制を作る」でも述べたように、自分以外でもできる介護や育児は他者に頼って、できるだけ負担を減らすようにしておきましょう。
③相談できる場所を持つ
ダブルケアを行っている人は平成28年時点で約25万人もいるため、各地にダブルケアカフェという当事者会、自助会が存在します。
介護と育児の悩みについて相談できる場所を持つことで、気持ちを吐き出すことができたり、他の経験者の方から有益な情報を聞くことができます。
また、ダブルケアカフェに子どもを連れてくる当事者の方もいるので、会によっては子ども同士の交流を求めることもできるでしょう。
ダブルケアカフェの例:
東大阪市「令和6年8月20日 子育ても介護も ダブルケアカフェ」
杉並区公式ホームページ「ダブルケアカフェに参加してきました(令和6年12月1日)」
まとめ
ここまで介護と育児を両立していくための対処法3つ、介護と育児の両立のために気をつけておきたいこと3つを紹介しました。
介護と育児の両立は、体力も気力も非常に消耗するものです。
本コラムで紹介したような支援機関や介護保険サービス、介護休業制度、ダブルケアカフェという当事者会などを利用して、できるだけ負担を分散しつつ取り組んでいきましょう。
当サイト「GOCHOKI」では、「①支援機関・支援制度を活用する」でお伝えした訪問美容に興味がある方に役立つ内容の記事を多数掲載しています。訪問美容についてより詳しく知りたい方は、ぜひ参考にしてください。